こんばんは名前変換( 51/56 )




その日から私は何も食べれず、眠れもしなかった。ずっとCMのない公共放送を見ていた。
一週間後、私が風邪をひいた時に幸雄が買ってきてくれたレトルトのおかゆを食べた。何も味がせず、2口食べて吐いた。
久しぶりに外に出た。コンビニでウィダーインゼリーを大量に買う。最近はこれしか食べられない。コンビニから出ると夕立ちが降っていた。もう、ハンカチも傘も手渡してくれる人はいない。私は泣きながらタバコに行った。
「これ、カートンでお願いします」
スポーツ新聞を読んでいたタバコ屋のおばさんは口を開いた。
「男のタバコを泣いて買うもんじゃないよ」
「彼、事故に巻き込まれて亡くなったんです。それは彼のタバコですかね」
私はは必死で笑った。
「タバコは体に悪いっていうけど、心を癒すこともあるんや。あいよ、おつり」
帰るとタバコに火をつけた。案の定最初はむせた。でも、目の前に幸雄がいるような気がした。ライターのオイルがなくなり始めると、吸い終わりのタバコの火を新しいタバコにくっつけて吸い続けた。



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