最初は何かの間違いだと思った。
そして、次は同姓同名の人が死んだんだと思った。その証拠を探すために、ほかのネットニュースを検索していると顔写真が貼ってあった。それはいつもずっと隣にいたあの顔だった。
***
家に帰るとアパートにマスコミが集まっていて、幸雄の部屋には警察が集まっていた。
私は震えながら鍵を開けると玄関で膝をついて体が動けなくなった。
ピーンポーン
鍵を開けると警察の人だった。
「井上さんですよね。警察です。このアパートに住んでいた平山幸雄さんのことで何か知らないでしょうか」
「彼は…か、か、彼は私の大切な友人でした」
突然過呼吸に襲われた。
「すヒュー…す、す、すみま、ヒューヒュー…これ、これでいいですか」
私はベッドまでたどり着き、過呼吸と戦った。ベッドの横には婦警さんがいつのまにかいた。
「井上さんと平山さんはお互いとても大切な存在だったようね。悲しめる時には十分悲しみなさい」
気がついたら私の目には一筋の涙が溢れていた。
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