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「ゆき起きてるか。海水浴、いくぞ」
チャイムが鳴った。私はウォータープルーフのマスカラを塗って、帽子を被った。電車で海の家の話、学校の話、ダイエットの話なんかしてたらすぐについた。
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「幸雄、私の水着。どう。似合ってるかな」
真っ先に幸雄にこの白のビキニ姿を見せたかった。幸雄は浮き輪を膨らましていると、いきなりむせた。
「コホッコホッ、やべぇ…」
「ねえ、どうなの。ちょっとウエスト太いと思うんだけど」
私は腰に手を当てた。
「すごく…かわいいです…」
幸雄は正座していた。
「えへへ、あのさ、背中とかに日焼け止め塗ってくれないかな」
「はいはい」
幸雄は紺色の短パンに水色のパーカーを羽織って、私の背中に日焼け止めを塗っていく。ひんやりして気持ちいい。
「こんなもんでいい」
「うん」
「今日、こういうの持ってきたんだけど」
とかばんから4丁の水鉄砲が出てきた。
「これ、どこで買ったの」
「おもちゃ屋さん」
「え、幸雄がおもちゃ屋さんとか似合わなすぎてウケる」
私が砂浜で笑い転げていたら、幸雄に水鉄砲で水をぶっかけられた。
「ゆきは隙だらけだからな」
「幸雄のバーカバカバカ」
海水を装填して幸雄一直線に発砲した。
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