こんばんは名前変換( 45/56 )




私はいつもの平山さんじゃないと言い聞かせてシーツを涙で濡らした。次の日になるとビンタされた跡は真っ青なあざになっていた。ファンデーションでも隠せない。学校があるのでマスクを付けた。
***
「ねぇ、ゆき顔にあざ…できてない」
「あーこれ、ボーッとしてたら自販機にぶつかっちゃって」
「ちょっと…マスク外して見せて」
マスクの隙間から見えたのか、詰めが甘かった。仕方なくマスクを外してみたらやはり驚かれた。
「ゆきもしかして、殴られた…」
ゆかりもひなも悲しそうな目で見てくる。あやが口を開いた。
「それってもしかして、前仲良くしてた、髪の毛の白い…」
「違う、違うもん。あの人はそんなことしない」
ポタポタと涙が溢れてきた。
「あたしら、1番にゆきの幸せ願ってるからさ。そういう男許せない」
「ゆきの幸せが1番だし」
「もーほんとひどい顔してるよ涙でぐちゃぐちゃ」
ゆかりはポケットティッシュを渡してくれた。
「ねえ、早退していいかな」
「代返なら任しといて!」
「ゆきの声真似ならうまいから!」
「あやのそれは自称でしょ」
「だから大丈夫。ちゃんと休んでこい」
と暖かく追い返された。
***
帰って、テレビをつけると見逃していた恋愛ドラマがやっていた。買いためていたアイスキャンデーを冷凍庫からだして、舐めながら見ていると最終回だった。OLの主人公がイケメンのパン屋の見習いにプロポーズされて涙していた。ふと窓のサッシに映った青あざの残った自分の顔を見て現実に戻った。クーラーをつけて、眠れる気分ではなかったがふて寝した。



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