こんばんは名前変換( 42/56 )




「もしもしゆき起きてる」
深夜一時呂律の回らない幸雄の声が私の眠気を覚ます。パジャマのまま、合鍵を片手に幸雄の部屋に入った。
「なーに。幸雄」
幸雄にしては珍しく服を脱ぎ散らかして、散乱していた。
「寿司、食べるか。組長が持たせてくれたんだ」
幸雄はいつもよりずっと上機嫌だった。私は寿司をつまみながら、幸雄から酒を取り上げていた。
「幸雄、お酒はもうダメ。お水飲んで」
「せっかく大勝ちしたから二人で祝勝会してーのによ」
「そうだったの、おめでとう。さすが幸雄だね」
「あたりめーだろ」
幸雄はにっこり笑った。この時間が幸せすぎて、私はすこし怖くなってきた。
「代打ちとして名前は知らねえやつはいないようにしてやる。な、ゆきも絶対幸せにすっから」
「うん、そだね」
私は苦笑いした。
***
「そーだ、ゆきに似合うと思ってこのワンピース買ったんだ」
紙袋から高そうな緑のワンピースが出てきた。
「着てくれよ。絶対似合うから」
と押し付けられると、ユニットバスで着替えた。袋の中の値段は見ないことにした。
「すっぴんだけど…どうかな」
「すごい似合ってるよ、ゆき」
と幸雄は抱き締めてきた。
「あっ、ごめん、寝る前はブラつけないの」
「そーなんだ」
と、意地悪な顔をして幸雄は胸元に雪崩れてきた。
「ばぁか、ねえ、幸雄、私のこと好きなのかな」
「あたりめーだろ」
酔っ払った幸雄は私の胸に顔を埋めた。お酒の力を使った。私はずるい。



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