こんばんは名前変換( 39/56 )




そのあとは、コスメコーナーを歩いて見て回った。
「これ新作のアイシャドウじゃん。へぇ、こんなんだったんだ。綺麗」
幸雄は興味なさそうな目で見ている。
「こんな量しか入ってねーでこの値段かよ、シャブじゃねーか」
意外にも幸雄の大きな声が響いた。
「そんな恥ずかしいこと言わないの」
「すまねぇ」
幸雄は恥ずかしそうに目も合わせなくなった。
***
雑貨屋で物色中、私は思いついたように
「ねぇ、幸雄。ピアス開けてみない。私が開けてあげるよ。幸雄イカニモ似合うし」
と言ってみた。
「そうか」
「クロムハーツとかジャスティンとか絶対似合うよ」
握っていた手をぎゅっと強く握り締めた。
「ゆきって意外とドSだよな。別にいいけど」
私はドSじゃないし強いわけない。弱いからこそ、小さな傷で幸雄を縛っている気になろうといるだけなのだ。ピアッサーを2つレジに置いた。
「俺、一つしか開けたくないんだけど」
「私も開けるよ。おそろいおそろい」
幸雄は一瞥して私の分も払った。
***
「はい、消毒液入ってるから」
と救急箱を渡してきた。中を開けるとパンッパンに包帯と湿布が入っていた。
「幸雄ってもうこんな齢なの…」
私は怪訝な目で見た。
「ちげぇよ。よく絡まれて怪我してたからさぁ。ま、最近なくなったけど」
不機嫌そうにそう答えた。
ティッシュに消毒液を含ませて、幸雄の左耳を拭く。
「開けるのはここぐらいでいいよね」
「まあ、任せた」
と二人で鏡でペンでマーキングしたところを確認する。パッケージからピアッサーを取り出してかちゃかちゃ動かす。
「3、2、1の合図で開けろよな」
そういいながら、私のスカートを握っている。
「3!で開けちゃダメかな」
「怒るぞ」
「しないしない」
私はまっすぐ耳たぶにピアスが当たってるかどうか確認して、
「3、2、1!」
ガチャン
「いってーっ。意外と痛くはないか。意外とビビってたわゆき」
そういいながら鏡を見ている。
「私にも見せて」
幸雄の横顔には真っ白な髪と同じ色をしたピアスがキラリと光っていた。
「私のは幸雄が開けて」
「は」
「私、幸雄に開けて欲しいんだけど」
そう言って、袋からピアッサーの箱を取り出す。



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