こんばんは名前変換( 37/56 )




「幸雄ー帰ってきたよー」
コタツムリの幸雄さんは早速出したコタツから出てこようともしなかった。
「ゆきもさっさとコタツに入れよー」
と少しの優しさでコタツに私の場所を開けてくれた。
「うーコタツあったかいねー」
「だろ、もう、出られらんねー」
幸雄は私と目があったときフニとキスをした。
「おかえりのキス」
「ずるい、ずるいよー」
平山さんの胸をタントンタントン叩いた。耳元で
「ただいまのキス待ってんだけど、まだなの」
そう囁かれた。その瞬間私の中のスイッチがカチッと切り替わった。机の上にあった日本酒を口に含んで、幸雄の口に移した。幸雄の首に腕を絡みついて、幸雄の口の中をむさぼった。正月の特番の出がらしのようなつまんないテレビをbgmに、ひとつずつ、ひとつずつ丁寧に幸雄の歯を舐めとった。幸雄は恥ずかしいのかおこっているのか、暗がりでよく見えないけれど愛しいという感情が芽生えた。私が幸雄の上に乗って、幸雄の真っ赤な耳をもっと赤くするように甘噛みする。
「ふぁっぁっ」
幸雄は気の抜けたような声を出した。
そのあとコタツの中で服を着たままお互いの体を重ね合って眠った。
***
幸雄にほっぺを掴まれて
「こんなことを教えたのはだーれだ」
と聞かれて。
「スーツが似合ってて」
「ふーん」
「麻雀がつよくて」
「それでそれで」
「白くて綺麗な髪をしている、男前のー」
「名前はー」
「ひらやまーゆきおっ」
幸雄は私の頭を優しく撫でた。
こんな茶番なんか本当はしたくない。私は何も知らないまま出会って、一から教えてもらいたかった。
***
「地元のお土産。普通のせんべいだけど。よかったら」
「うなぎエキス、謎なんだけど。みやげ謎あるあるだな」
平山さんはせんべいを無造作に口に入れる。
「あと、これ、勝負祈願が無かったから健康祈願のお守り」
「さんきゅな」
幸雄は私の頭を撫でる。



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