こんばんは名前変換( 33/56 )




「オマールエビのグリル、タルタルソースかけ。スズキのポワレでございます」
「ありがとうございます」
使いづらい魚用のナイフを使ってスズキを一口大にする。
「ゆき手ぇ震えてんぞ」
「だって、こんなヘンテコナイフ、お金持ちの誰かさんとちがって初めて使うんだもん」
「俺が金持ちって、冗談よせよ。接待でこういう店に連れて行ってもらうことはあるけど。ブランドのスーツでせいいっぱいなんだぞ」
「そうなんだ、意外」
私は手を止めた。
「そっかぁ、お金持ちだったらあんなボロアパートに住まないし、彼女の一人や二人いるもんねー。クリスマスに貧乏女子大生とランチってやっぱり」
「いや、それは…」
「ん」
「何言おうとしてたか忘れた」
平山さんは嘘をついたと気づいた。でも気がつかないふりをして、四苦八苦しながらオマールエビを食べた。オマールエビもスズキのポアレも平山さんに見られながら食べてると思うと味がよくわからなかった。でも、平山さんとお食事するのは美味しかった。



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