こんばんは名前変換( 28/56 )




「すりおろしリンゴ作らねーといけねーな」
「平山さん、おろし金はキッチンの真ん中の…」
「わかんねぇから、うちにないし新品買ってきた」
とキッチンの奥から響いてくる。
「リンゴの剥き方わからねえから、ネットで調べるから遅くなりそう」
さすがに私は平山さんの隣に駆けつけた。
「平山さん、雀士なんだから、指を大切にしなきゃ。私がリンゴ剥くから…」
「俺もやってみたい」
「じゃあ、本当に慎重に私のマネをしてね」
すると平山さんはコツを覚えたようで、リンゴを剥くことが出来た。身が皮に付いちゃって1/3はどっかに行っちゃっているけれど。
「はい、すりおろしたリンゴ」
「懐かしい」
「そうなんだ。俺そういうのよくわかんねーんだ」
と言いながらベッドの上の私の手を優しく包み込む。
「一人暮らしは自由だけど、風邪引いたり、体調悪くなったらすげー心細いよな」
「平山さんっていつから一人暮らししてたの」
「一家離散した中学生の頃から」
「へぇ、大変だったね」
「まあそこそこ」
***
夕方に起きると、平山さんは私の手を離さずに見守ってくれて寝落ちしたらしい。私は、平山さんの起こさないようにそっとベッドから抜け出した。
リンゴを手に取ると慣れた手つきでうさぎさんにした。



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