「件名:SOS
平山さん、風邪ひいた」
まあ、平山さんも寝てるだろうし、すぐには返事は返ってこないだろう。と思っていたら、10分後チャイムがなった。ドアを開けてみると、スウェット姿の平山さんが立っていた。
「平山さん、こんなに早く…」
とドアまで急いで走ったらよろけてこけた。チェーンをはずすと、平山さんは靴を脱ぎ、私を抱き上げベッドまではこんでくれた。
「やめっ、私体重重いから」
「平気平気、ていうかお前軽すぎなんだよ。そんなヒョロヒョロだから風邪ひくんだバーカ」
とベッドに戻され、軽くデコピンをされた。
「しかしあちーよ、この部屋。ゆきは無理するな。欲しいものあったら買ってくるから。とりあえず、スポーツドリンクとお粥、そして冷えピタだな」
「あと、すりおろしたリンゴが食べたい」
「わかった、行ってくる」
「これ、うちの鍵ケホッケホッケホッ」
「ゆきは大人しくしてろよ」
「はーい」
と平山さんは買い出しに出かけた。
***
「ゆき買ってきたぞ。ポカリとレトルトのおかゆ。俺、おかゆの作り方知らねぇからさ」
「ありがとう、平山さん」
すると、いつも愛用しているマグカップにスポーツドリンクが注がれ、グラタン用の皿にレトルトのおかゆが盛られていた。平山さんはスプーンを持って
「風邪だから特別にあーんするか?」
平山さんはニヤッと笑った
「えっ、いいの」
平山さんはスプーンの上のおかゆを冷まし、私の口に運ぶ。
「あーんなんて4歳か5歳以来だよ。恥ずかしい…」
「じゃあもうやめるか」
って平山さんは煽ってくる。レトルトのおかゆは全部食べられた。
「ゆき、風邪引いても食欲あるから大丈夫だな」
と汗ばんだ私の額を撫でる。
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