平山さんは目を開けた。
「鍵、使ったんだ」
「うん、起きよ、平山さん」
「2徹だから寝かせて…」
そうすると私の手をにぎって、ベッドに入れさせようとした。
「ちょ、私邪魔じゃん」
「気にしないで」
私の心臓はバクバク音を立てて、布団の中に取り込まれていった。
***
「平山さん胸露出しすぎじゃない、もっとちゃんとボタンのあるシャツきてよ」
「それは俺の勝手だろ。もらいものだし」
「…あっ、そう」
平山さんは私のことを後ろから抱きしめた。私が後ろを向いて確認すると平山さんは二度寝していた。平山さんを起こすのも悪いと思っていたら、平山さんの体温でぼーっとなってしまった。携帯で確認すると、3時だった。
「ひーらやまさん、おきてー。もう3時だよ」
「うるせぇなあ。おきる、おきるから」
その時おでことおでこがぶつかった。
「ゆき痛かったか」
「ううん。ファンデーションがちょっと崩れただけ」
と平山さんのおでこについたファンデーションを拭く。
寝ぼけていた意識がしっかりしてきたらドキドキが止まらなくなった。
「ゆきどうした」
「なにも」
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