こんばんは名前変換( 15/56 )




「よぉアカギ」
振り向くとグリーンのジャケットを肩にかけ、もう片手にはビールを持っているおじさんがいた。
「安岡さん、来てたんですか」
「交通安全課だけじゃたりなくて、他の課も駆り出されているところよ」
「おい、アカギ。その子が噂のゆきちゃんか」
突然名前を呼ばれてさっき釣ったヨーヨーを危うく落としかけた。
「え、なんで安岡さんが井上さんのこと知ってるんですか」
「だって、お前いつも酔ったらゆきちゃんの話ばっかりじゃねえか」
「ねえ、そうなの。平山さん」
「すみません、覚えてません…」
と平山さんはしゃがんでしまった。
「こいつ、見た目はアレだけど、いいやつだから大事にしてやってくれ」
そう言って安岡さんは私の肩を叩いた。
「ねーえ、平山さん。早く立ち直ってよー」
平山さんを揺する。平山さんは立ち上がって、前髪を整えサングラスをかけ直す。
「平山さん、平山さんはどこか行きたい場所ない」
「じゃあ、型抜きかな」
ランダムに板菓子を選ぶ。私は魚、平山さんはウサギだった。慎重に慎重にやったのに、ヒレと胴体がきれてしまった。平山さんは綺麗にウサギをくり抜いていた。平山さんがくり抜いたウサギと景品を選ぼうとしたら
「景品、アンタにあげるから、好きなの選びな」
「平山さんはそれでいいの」
「俺は型抜きできただけで十分」
平山さんが伸びをしている間に、かざぐるまのキーホルダーを選んだ。
「ありがとね、平山さん」
夜も更けて、平山さんの髪の毛だけがキラキラと目立っていた。



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