こんばんは名前変換( 13/56 )




今日は、平山さんと夏祭りに行く日だ。
実家から送ってもらった浴衣を「浴衣の着付け方法」のDVDを見ながら四苦八苦して自分で着付けしてみる。何か違和感を感じるが、ようやく浴衣を着ることに成功した。
先にポニーテールにしていた髪をコテで軽く巻き、透明の大ぶりの赤い花にビーズの垂れ下がる飾りのついたかんざしをさす。
化粧は浴衣に合わせてアイメイクは控えめに。入学式前に初めてデパートのカウンターで買ったシャネルのリップを乗せる。
***
「平山さぁーん」
「おっ」
平山さんは私の全身をくまなく見て、何か気づいたような顔をした。
「井上さん、もう一度帯結び直しでいい」
「いいけど…」
平山さんは棚の奥から粗品と書かれた箱取り、開けると中にはタオルを出してきた。
「浴衣と帯の間にタオルを挟むから井上さんはちゃんと帯持っといてね」
「わかった」
「ほら、さっきより、帯がシワシワになってないだろ。アンタ、細いから」
平山さんは自慢げな顔をする。
「平山さん、なんでこんなやり方知ってるの」
「小さい頃、夏祭りの時お袋がよくやってた記憶があるから」
「そう」
それ以上は聞く必要はないと思った。平山さんの鏡でシャネルのリップを塗り直した。振り返って
「どうかな…」
「すごく、似合ってるぞゆき」
平山さんは顔を逸らしていたが耳まで真っ赤だった。



prev next
bookmark back
トップ
章に戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -