フォルテ | ナノ


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 ローションボトルを手に取り、くたりと垂れたままの圭太の性器と自分の右手に、ぶちゅりと中身を大雑把に出した。相変わらず表情は変わらないが、渋々といった様子なのは間違いない。
 高校生の時に親衛隊と一悶着あり、返り討ちにしていたとは話していたが、後ろは全く感じないと話すということはその時に何かあったのか。明衣が頑なに圭太を抱きたがっているのは、元々タチだったこともある。
 しかし、それだけではなく、見ず知らずの人間に明衣が知らない圭太を見られたかもしれない。それが嫌で堪らない。
 圭太の性格を考えれば最後までそう簡単に許しはしないだろうが、それでも怒りは抑えきれない。

「何、考えてんだ?」
「後ろ、俺以外にも触った奴いるんだろ」
「なんだ、一年前にさらっと話したことまだ根に持ってたのか?」
「悪いかよ」
「ふ、くくっ……いや、愛されてるなぁと思ってな。縛られて指一本入れられただけだ、気持ち悪すぎて蹴り飛ばした」
「縛られてって、その前にどうにか出来ただろ」
「正当防衛の理由作り」

 手を止めて溜息を吐いている明衣の腰を、圭太は投げ出していた両足でホールドした。

「気持ちよく、してくれるんだろ?」

 わざと掠れ気味に甘い声を使ってきた圭太に、思わず明衣はスン、と真顔になった。ここまで煽られて圭太の余裕を崩せないまま終わるわけにはいかない。

「絶対に、泣かす」

 芯を持ち始めている陰茎への刺激はそのままに、後孔に入れる指を二本に増やして性器の裏側辺りを探る。しっかりと前が勃ったのを確認してから、少し硬くなっている箇所を慣れた手つきでゆっくりと押す。
 そのまま撫でるように指を動かしながら、ぐちゅぐちゅと陰茎を扱く。反応がいまいちだった圭太も、後ろを触られる嫌悪感を取り払った今、性器への直接的な快感もあって息を詰めていた。

「んっ…く、ふ……」
「イキそうならイっていいぜ」

 圭太の様子を見て明衣は裏筋を親指で刺激しながら、さらに擦るスピードを上げた。直後、ギュッとナカが締まり、ビュルビュルと勢いよく精液を吐き出した。

「気持ち悪さはなかったみたいだな」
「まさかとは思うが、当て掘りする気か?」
「前立腺の刺激を快感として認識出来るなら、その方が気持ちいいだろ」
「俺がめいちゃんにされる日が来るとはなぁ」

 明衣がゴムを付けている間に、緩慢な動きで圭太は起き上がった。そのままのそのそと移動して、明衣と向かい合うように太腿に跨った。

「随分と乗り気になったんだな?」
「これだけテクがあっていいモン持ってるのに、こうして抱けるのが俺しかいないんだから満足させてやらねぇとって思ってな」

 圭太の行動に少し引っかかりつつ、ここで気が変わって抱けないまま強制終了されるよりはいいかと、深く考えずに圭太の後孔に陰茎を宛てがう。ゆっくりと奥へ奥へと挿れて、先がちょうど前立腺に当たる位置で一度止まった。
 バックからやる方が負担もなく当てやすいが、圭太との体格差ならこのままでも出来ないことはない。そう考えていたが、圭太が明衣の首に腕を回し、より密着してきたことである可能性に気付く。
 ただ、圭太の狙いに気付くのがその時にはもう遅かった。

「あッ……」
「ッ!?」

 圭太が動いたことで擦れて、圭太が明衣の耳元で大きく喘いだ。
 思わず圭太の腰を掴んでいた手を離してしまい、ずぶりと深く圭太のナカに飲み込まれた。それで圭太がまた嬌声を漏らす。全く声を抑える気がない。
 明衣は顔を真っ赤にしながら、圭太を引き剥がして押し倒した。

「圭太?」
「チッ……暴発しなかったか」
「なるほどよーく分かった、手加減しなくていいんだな」
「声を抑えて喉を痛めるくらいなら、素直に喘いだついでにめいちゃんをからかってやろうと」
「じゃあ今から存分に、喘げよ」

 圭太の両足を持ち上げて腰の下に枕を差し込むと、そのまま腹側を擦るように明衣は腰を動かし始めた。

「あ、あっ…あぁっ」
「ここ、だろ?」
「ぅあッあ、あ!」

 ただ出し入れするのではなく、前立腺を狙ってごりごりと刺激を与える。一度後ろを弄りながら達したことで感覚を掴んだようで、確かに後ろでも快楽を得ている。
 圭太の陰茎は勃ち上がってはいるものの、射精に至るまでの刺激ではない。手を伸ばそうとした圭太の手を掴んで阻止して、明衣はゆるゆると上下に手を動かすだけの単調な手淫を施す。
 弱火でじっくりと煮詰められ続け、だんだんと理性がほろほろと崩れていく。

「あッア、も、イク……ッ」
「くッ……」

 圭太が耐え切れず欲を吐き出した後、明衣も搾り取られるようなナカの動きに達した。
 荒い息を落ち着かせる間もなく、明衣は圭太に口付けた。

「はぁ……そろそろ抜いてくれ」
「ゴム変えて、まだヤるからな」
「……正気か?」
「俺が初めての時、一回で終わらなかっただろ」

 沈黙の後、圭太はベッドサイドに置いていた水を一口飲んで寝転んだ。明衣はゴムを付け替えて、再び圭太に覆い被さった。








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