フォルテ | ナノ


 03



 静かな夜。
圭太による影響を最も身をもって受けている人物が、しんと静まり返った部屋の中で、息を乱れさせていた。

「ん、ふっ…」
「だいぶ入るようになったな」
「はぁッは、ぁ……」

 圭太は宣言していた通りに毎晩、明衣のアナルを解し続けていた。指を入れてスムーズに抜き差し出来るようになり、それ以外にもきっちり性感帯開発をしていた。
 明衣の口の中に人差し指と中指を突っ込み、上顎をするすると指の腹で擦る。中央の、喉奥から手前にかけて、するりと撫でる。触れるか触れないか、ギリギリのラインでこれをやられると堪らないようで、後ろを解している指をキュッと締め付けてくる。

「んぐ、んんっ! んッ」

 明衣の口から指を引き抜けば、物足りないとでも言うように、涎に塗れた圭太の指を明衣の舌がぺろりと舐めた。

「めいちゃん、それ煽ってんのか?」
「煽ってる」
「嫌だって言っても、途中でやめないからな」
「覚悟は出来てんだよ、早く来い」

 腕を広げて圭太を見上げる。圭太が指を抜いて、自らの性器にゴムをつけている様子を明衣はじっと見守っていた。
 ごくり、と唾を飲む。ついに圭太と繋がるのだ。
ローションで十分に濡らされ、圭太の指で十分に何度も何度も解されたアナルに、圭太の熱が触れる。

「入れるぞ」

 その声のすぐ後に、指よりも質量と熱を持った圭太の陰茎が、ゆっくりと明衣の中に埋められていく。
 熱い、苦しい、嬉しい。様々な感情が入れ混ざり、口からは意味を成さない上擦った声だけが溢れだす。

「ん、んんッん…」
「あと少しっ……」

 圭太がぐっと腰を突き出し、ずるりと根元まで一気に中に入り込む。それに明衣は身体を大きく反らし、一際高い嬌声を上げた。
 突然の刺激に明衣は圭太をギッと睨んだが、赤く染まった顔では迫力はない。圭太は明衣の腰を掴み直して、再度明衣の中を穿った。

「はぁ、あっんん、ん、くっ…ぅあッ…」
「声、抑えんな」
「いや、だ…っ」

 唇を噛み締めて、必死に漏れ出す声を噛み殺している明衣に、むくむくと欲が膨れ上がる。
 もっと快楽の中に落として、自分にだけ見せる明衣の表情を、声を、全てを手に入れたい。頑なにプライドを捨てようとしない明衣に、圭太は舌なめずりをした。

「攻略するのが難しければ難しいほど、燃えるタイプだって知ってるだろ」

 圭太は明衣の身体を引っ張り上げて起こし、座っている自分の上に乗り上げさせた。所謂、対面座位の状態で、圭太は明衣の陰茎を擦りながら突き上げる。
 一層奥まで入り込んだ圭太の熱に、びくりと明衣は背を反らした。気持ち良いところを圭太の陰茎がごりごりと突くように擦る度に、過ぎた快感から逃れようと明衣の足がシーツを蹴る。

「も、イ、く…うぁ、あッ」

 限界を訴える明衣の頭を引き寄せて、圭太は耳元で囁いた。

「イけよ、明衣」
「ッあ、は…あぁっ」

 囁いた途端に明衣は身体を強張らせ、盛大に白濁を撒き散らした。丸く見開かれた目は涙で潤み、かなりの快感を伴ったのか、息はいつもより荒い。

「急に、耳元で喋んなっ……」
「まさかイくとは思わなかった」
「黙れ、ちくしょう」

 恨めしそうに圭太を睨む明衣を気にすることなく茶化す。

「声だけでその内イけるように開発するか?」
「しねぇよ! ほら、さっさと抜い、て……おい」
「ん? どうした」
「何またでかくしてんだよ」
「まだ夜は始まったばかりだぜめいちゃん」

 既に臨戦態勢に入っている圭太のモノに、明衣は顔を青褪めさせた。まだ足りないのは分かるが、そんなに早く回復は出来ていない。
 それに慣らされていたとはいえ、今日が初めてなのだ。そんなにポンポンとやれるだけの余裕がない。

「せめて一回抜け、初っ端から抜かずに連発は無理だ」
「……仕方ねぇな」

 ずるずると出て行く感覚に震えながら、明衣はジンジンと違和感を訴える尻を撫でた。よくあんなに大きなものが入っていたなと自分の尻の穴に感動しつつ、圭太の元気の良さにヒヤリとする。
 あと何回ヤるのだろうか。場合によっては、鍛える必要性が出てくるかもしれない。

「何難しい顔してんだ?」
「圭太の圭太が元気すぎてびっくりだ」
「めいちゃんの中が気持ちいいからな」
「そんなこと言ったってすぐ掘っていいとは言わねぇからな」

 明衣はジト目で圭太を見た。ペースを崩されてなるものかと、必死に圭太を牽制する明衣の姿に、圭太は実に愉しそうに口角を上げている。
 まだ夜は始まったばかりなのだから、焦る必要はない。圭太は渇いた喉に水を流し込み、明衣の肌へ再び手を伸ばした。






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