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▼ 秘密事情

 とある山奥に存在しているこの学園には、学園にいる人間なら知らない人はいないぐらい騒がれ、有名なカップルがいる。ここは男子校なので同性同士のカップルなのだが、有名になっているのには理由が二つある。
 まず、全校生徒の代表である生徒会長と、学年首席であり会長補佐のカップルであることだ。別に会長と補佐なら有名になる程度で済むのでは、と思うだろう。どんなに可愛い容姿をしていようと男だからと言って、数々の告白、夜の誘いを断ってきた。
――そんな会長が選んだのは、ぱっとしない平凡な容姿をした男だったのだ。



「どうして僕じゃ駄目なんですか!?」
「男だから付き合えないって言ってたじゃないですか!?」

 当然、自分の容姿に自信のある生徒らは納得がいかないと、補佐を追い詰めて別れさせようと目論んだ。
 逃げられないように寮の部屋へと押しかけて、ひたすら別れるように罵詈雑言を並べ立てていく。

「会長様とアンタは似合わないんだよ」
「はぁ……そう言われても」

 何を言っても歯切れが悪い、曖昧な返事ばかりが返ってくる。彼のその微妙な返事に、そこに詰めかけていた者たちの怒りが爆発しそうになっていた時だった。

「いつまで待たせる気だ、昴!」

 奥の部屋から、話題の渦中にある会長の苛立った声が聞こえてきたのだ。

「会長様がいらっしゃるの!?」

 反発していた生徒らは色めきたったが、それも束の間だった。会長が補佐の部屋に居ることが、腹立たしく思えてきたのだ。ずかずかと部屋に入り込み、会長を連れ出してしまおうと考えた。
 補佐はそんな彼らを止めることなく、僅かに口角を上げる。背後で笑う補佐に彼らは全く気付くことなく、奥のドアを開け放った。
 その直後、悲鳴と怒鳴り声が聞こえてきた。

「会長様すみませんでしたぁあああ! 失礼しますぅうう!」
「うわぁあぁごめんなさいごめんなさいぃ!」

 顔を真っ赤にして叫びながら部屋から出ていった生徒達を見送ってから、補佐は会長の居る部屋に戻った。
 ベッドの上で、何ひとつ身に纏っていない身体を隠すようにタオルケットを被っている。が、先程の生徒達にはそのタオルケットの下を見られただろう。
――会長の腹部に飛散した白濁と後孔に埋められている玩具を。

『すば、る……早く……』

 身体の自由がある状態であっても、抜かれていない玩具。それに彼らが入ってきた時に、まさか第三者が侵入してくるとは思わずに、言ってしまった言葉。合意の上での行為だと認めざるを得ないだろう。

「どうして、あいつらを追っ払わなかった?」
「制裁もいい加減我慢出来なくてですね。会長様がバリネコだなんて、知らない奴らが知ったらどうなるかなと思いまして」
「……結構いい性格してるよな」
「褒め言葉として受け取っておきます」
「明日が憂鬱だ」
「楽しみですね」

 次の日、会長がネコであることが新聞で一面を飾り、認知度はさらに高まることとなる。生徒会室では役員達が生暖かい眼差しで、何かと優しく接してきたり、風紀委員長にはニタニタと笑みを浮かべられ、補佐が会長に怒られたのは言うまでもない。
 しかし、確かに補佐への風当たりは弱くなったのだ。

「まだ怒ってます?」
「……もういい、その代わり今夜はちゃんと抱け」
「はいはい」



END.


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