マジバケ5つ星 | ナノ


その日の帰り、シャルロット達は一言も喋れなかった。
何度か会話を切り出そうとしたが、放課後の出来事を思い出すと、どうにも話題が思い浮かばなかった。

「宇宙って.....どうやって行くのかな?」

長い静寂をついに破ったのはジャスミンだった。

「やっぱロケットじゃねぇか?」
「学校にロケットってあったなノ?」
「さあな。でもあったら絶対すげぇだろうな。」

いつの間にかシャルロット達の会話は宇宙の話が中心となっている。
宇宙への行き方、宇宙にある5つの星にありそうな物、放課後学んだ宇宙での戦い方等、どんどん会話が続いていた。

「なあ、もうこんな話止めないか?」

そんな会話を遮ったのは講義が終わってからずっと不機嫌そうな顔をしてるノアゼットだった。

「実際本当に戦うかどうかも解らないし、そもそも行けるかさえもはっきりしないのにわざわざ考える必要なんてないだろう。」
「まあ、そうかも知れないけどよぉ。もし先生に何かあったら....」
「仮にあったとしても、僕等とは関係ない話だろう。」

まるで他人事のように語るノアゼットに、何人かが眉を顰めた。

「ちょっと、その言い方はないでしょ?あなたは先生に何があっても何ともないと言うの?」
「冷静に考えろと言ってるんだ。実践と言っても所詮はマジックドールと対戦しただけで、実際に誰かと魔法で戦った訳でもないだろう。
それに、宇宙に行くとしても風の星がどこにあるのかも解らないのに無闇に足を突っ込んだら二度と帰れなくなる可能性だってあるんだ。」
「そんなの、皆で力を合わせれば大丈夫なノ!!道に迷えば皆で道を探せば良いし、戦う時も力を合わせればどんな相手でも倒せるノ!!」

前向きに語るチャイの言葉を聞き、ノアゼットは溜め息を付いた。

「お前等、甘過ぎる。『力がある』と言われたかどうかはともかく、何もかもがそう上手くいくわけでもないし、最悪な状況だって起こるかもしれないんだ。
そんな状況で僕等が力を合わせたとしても所詮はガキの悪あがき程度の物だろう。」
「そんなの、やってみないとわかんねぇだろう?そんな悪い事ばっか考えてたら、出来るもんも出来なくなるだろう!!」
「やってみたらきっと出来る、と断言できる保証もないだろう。」

お互い譲れない意見が衝突し合い、纏わりついていた雰囲気もだんだん険しくなっていた。

「だったら、出来るようにすれば良いの!!」

他の皆が言い争うのを不安そうに見ていたシャルロットが思いきって口を開けた。

「魔法での戦い方ならマジックドールで何度か練習すれば良いし、星の事もおとぎ話でも良いからとにかく調べれば良い!!
ほんのちっぽけな事かも知れないけど、きっと何度も積み重ねればいつか役に立てる....と思う...。」

最後は自信なさげだったものの、シャルロット必死で自分の考えを伝えた。

「本当は....先生が早く帰って来て欲しい。帰って来て、いつものように授業を教えて欲しい。
でも、もし帰りが遅くなって助けが必要になったら、うちは先生の事助けたい。先生に会って...一緒に......この学校に帰りたい.....。」

話を進めてる内に、シャルロットはまた急に泣き出してしまった。ジャスミンに頭を撫でられながら泣いているシャルロットを見て、先程言い争っていたノアゼット達もこれ以上は何も語らなくなった。

「まあまあ、泣くなよ。別に先生が二度と帰って来ない訳でもないだろう?きっとすぐ帰って来て、また一緒に楽しく授業出来るって。」
「あら、あなたの口から授業が楽しいって言葉が出るとは思わなかったわ。」
「うっ、そ、そこは、空気読んでくれよ~。」

ポモドーロの泣き言にそこにいたほぼ全員が笑いだし、担任が無事に帰ってくる事を願いながら帰宅の道を進んでいた。

だが、その願いは虚しくも叶うことはなく、月が経ってもマドレーヌが帰ってくる事はなかった。
そんなマドレーヌを風の星へと送った張本人である校長は、自分が行けば良かった後悔混じった言葉を良いながら俯いたまま身を震わすことしか出来なかった


to be continued...

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