マジバケ5つ星 | ナノ


暗黒魔王討伐のためにも適切な準備を整えよと言う王の配慮により、シャルロット達は宿へと案内された。
土で出来たベッドは意外と丈夫でそのベッドにしかれたマットと毛布はフカフカしていた。

「ふぁあ〜疲れたぁ〜……。」

フカフカのベッドに飛び込むなり大の字になるジャスミン。宇宙を飛び回り、あちこちを歩き回り、色んな相手と戦っただけの事あって相当疲れが溜まったのだろう。

「暗黒魔王かぁ……また変な化け物だったりするのかなぁ?」
「うーん……モグラさん達が恐れる相手だとするとやっぱり狐かフクロウとか?」
「何か、逆に可愛くなりそう。」

暗黒魔王がどんな存在なのかハッキリしてない以上想像してみるのも悪くはないだろう。最初に会ったあの巨大な虫の化け物でなければ何でも良いと思ったりするも、やはり未知なる存在となると期待と不安が混ざっていた。

「私達、本当に宇宙に来たんだね。」
「……うん。」
「あ、そう言えば。この前キャンディ先生の授業で先生が学生の時の話してくれた事があるじゃん?先生達も旅に出た事があるって。その時も色んな場所に行って色んな事があって……もしかしたら、私達もそんな事が起きるんじゃないかな?」
「うーん……どうなんだろう?」

予期せぬ出来事、旅先で出会った人達、目の前の風景、どれも子供達の冒険心と探求心を擽らせる物ばかりだった。今回ロケットを使って旅をしているシャルロットとジャスミンはまさにその物語の人達と等しいと言える。
マドレーヌを探すのが第一の目的ではあるが、もしかしたら宇宙を飛び回る内に今回の件も含め色んな出来事が起こるのかもしれない。

「それにしても、ロッティもロケットに乗って宇宙に行くとは思わなかったなぁ。」
「何で?うちが宇宙を旅するのってそんなに変なの?」
「うーん……何て言えば良いのかなぁ?ノアが言ってたんだけど、ロッティって結構怖がりで不器用らしいからこう言う……大胆?な事はしないんじゃないかなぁって勝手に思っちゃったんだよね。」

ジャスミンの言葉、正確にはジャスミンに話したノアゼットの言葉を聞き、シャルロットの表情が暗くなった。親戚の兄ではあるものの、シャルロットはノアゼットが少々苦手だった。
魔法の腕も凄く頭も良くて皆から慕われてるノアゼットに比べれば自分は魔法も勉強もそんなに上手い訳ではない。ただ、そのせいなのかノアゼットはいつも自分を見下してる様な感じがしてあまり一緒に居たいと思えなかった。
現に、シャルロットが何かをやろうとすればいつも『お前は出来ない。』『お前には無理だ。』と否定されてばかりで、何かが出来たとしても誉められるどころかダメ出しばかりされる。
まるで自分の全てが気に入らない様に見えて、余程の事が無い限りはなるべく関わらないようにしようと心の中で決めていたのだった。

「うちでも出来るんだって証明したかったのかもしれない。」
「へっ?」
「勿論マドレーヌ先生を探しに行きたいって思ったからでもあるけど、うちも何か出来ることがあるんだって。ダメな子じゃないんだって。誰かに言い聞かせたかったのかもしれない。」

誰かと言うのは紛れもないノアゼットの事。直接言ったわけではないのにジャスミンは直感でそれが解ってしまった。

「じゃあ、早くマドレーヌ先生を見つけてそいつをギャフンと言わせなきゃね。」
「うん!!」
「んじゃ、もう寝るね~。」

やがてスースーとした声が聞こえ、2人は夢の中へと落ちていった。
土の中の世界にいる2人が、砂に溢れた星を囲む夜空から流れ星がいくつか落ちていたことに気が付く事はなかった。

to be continued……

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