マジバケ5つ星 | ナノ


トゲモグラ達の案内に従って行ったのは派手な絨毯が敷かれていて、それと同じぐらい派手な衣装を着ていて王冠を被っているまさに王族と言えるらしき人と、やや年老いたかのようなトゲモグラがいる部屋だった。

「よくぞ参られた。我がトゲモグラの国、ネンぺへ。我はネンぺ国13代国王ラーゾン・ゴルゴだ。」
「こ、こんにちは。」
「見ればこの星の者とは違った出で立ち……ロボット達の牢獄から抜け出した事等を考えると……大臣!この者達が『滅びの時』に我が国を……いや!この世界を救う勇者と考えても良いのだな!?」
「その通りであります!彼らこそは『滅びの時』に現れる伝説の勇者に違いありません!」
「わ、私達が勇者!?『滅びの時』」

随分と誇張された様な会話にシャルロットとジャスミンは全く付いていけなかった。

「我が国に伝わる伝説じゃ……この世界が滅びんとする時、異世界から現れた勇者が世界を救う……。そして今はまさに『滅びの時』……魔法を使える者はロボット達に捕まり……ミミズの取れる数も少なくなってきた。」
「そんな事言われても……私達ここがどこかもよく解らないんです。マドレーヌ先生を探すために風の星行きたいんだけど、ロケットは壊れちゃったし……。」
「おお、何と勇者らしい逆境でしょう!」

落ち込んだまま話すジャスミンの話を聞いて大臣はこれでもかと言うくらい大きなリアクションをとった。

「風の星に行きたいが宇宙船が無い!?そこで我等に協力を仰ぎたいとおっしゃられるのですな!?」
「いや……そんな事は言ってないんですけど…。」
「勇者よ!悲観するでない!そなた等の冒険は必ずや上手くいくであろう。大臣よ!あれを持って参れ。」
「はっ!」

ラーゾンの命令に従い大臣はとても年を取った様には思えない程の速度で2冊の本を持ち出してきた。

「伝説は2つの書からなるのだ。1つは『闇の書』、1つは『光の書』。大臣よ、まずは闇の書をっ!」
「おっほん。『滅びの時……世界を救う勇者は遠い星から現れ魔法の力で暗黒魔王を倒す。』」
「暗黒魔王??」
「そうじゃ。世にも恐ろしい相手じゃ…そこであなた方に頼みがある!暗黒魔王を倒して欲しいのだ。引き受けてはくれぬだろうか?」
「えっと……。」

突然の要望に戸惑う2人。いきなり勇者だの滅びの時だのと普通ならただのおとぎ話みたいだと思って聞き流していただろう。だが、彼等の態度からして決して冗談を言ってるとは思えない。
だが、その伝説が仮に本当だとしても名前からして物騒な相手と戦う事には多少抵抗がある、だからと言って今のところ友好な一面を見せるトゲモグラの頼みを断っても良いのだろうか。

「……解りました。やります!!」

ようやく聞くことが出来た返事に王は歓喜の声を上げた。

「おぉ!何とも頼もしい返事!」
「ロッティ…ノリいいね…。」

面食らった顔をしてるジャスミンだったが王は特に気にせず話を続けた。

「闇の書にはこうも書いてある!勇者はトゲモグラをミミズの楽園に誘い…また、自らの目的へ向けて旅立ってゆく…。」
「ミミズの楽園ですか…。」
「そして勇者は、やがて巨悪を撃ち破るだろう。その時に、勇者の傍らにはトゲモグラの姿がある。勇者とトゲモグラは互いに助け合い、目的を果たすであろう。」
「ハァ…いずれは協力していただけるということなのですね。信じてみますよその言葉…。」
「ありがとう、小さい方の勇者よ!」

未だにこの状況が理解できず腑に落ちない所もあるが、何もしないよりはマジだろう。
トゲモグラの王と異世界から来た旅人との交渉が今このトゲモグラ王国の代表とする場所で成立しようとしていた。

 
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