マジバケ5つ星 | ナノ


砂に足が埋もれそうになりつつも前へと進むと、ついに砂漠以外の存在が現れた。
シャルロット達を迎えたのはまるで機械のみで作り上げた様な金属の大きな搭だった。

「な、何だあれ!?何だか解んないけどでかい!!でっかいよ!」

見慣れてない建物に思わず大きな声を出すジャスミン。

「行ってみよう!!」
「ま、まさか、ここに入るつもり…?ヤバいよ…見るからにヤバい感じだよ…?」

搭の中に入ろうとするシャルロットを怯えながらも止めようとしているジャスミン。シャルロットも入ろうと言ってはみたものの、不安で手が震えてる。
頭から離れない不安を取り除こうと深呼吸をし、シャルロットは強い目でジャスミンを見つめた。

「もしかしたら、ロケットを直してくれる人がいるかもしれない。ここにずっといるより、ほんの少しでも何かをした方がいいと思うの。」
「ううう……、ロッティがそう言うならジャスミンも行く〜。」

少し離れていたジャスミンがシャルロットに近づき、2人はお互いを勇気付けるために手を繋いで搭の中へ入って行った。

門を潜り抜けたその先に会ったのは光など一粒も見当たらない真っ暗な部屋だった。

「なんだか真っ暗だね。ちょっと怖いよやっぱり。」
「うん…。」

塔の中に入ったのは良いものの、辺り一面が暗闇に包まれており人らしき存在も見当たらない。あまり見慣れていない光景にシャルロットとジャスミンは泣きそうな顔になった。
ふとその時、突然部屋が真っ赤に染まり警報の様な音が鳴ったと思いきや、全身が灰色のロボットが2人の行き場を防いでいた。

「シンニュウシャハッケンハイジョスル」
「ぎゃっ!な、何か来た!」

逃げようとしてもロボットに取り囲まれてまさに八方塞がりの状態。どの道を進むにしろロボットを倒さなければならなかった。

「来るなぁー!!アトリ!!」

複数のロボットを攻撃する為に後列に立ったジャスミンが分散された風の魔法をロボットに放った。シャルロットも後ろにいるジャスミンを庇いながら光魔法でロボットを倒していく。
何度か魔法を放ちロボットを全て倒した時には敵を倒した安堵より未知なる状況に対する恐怖のみが残っていた。

「うえ〜〜〜〜ん。何なのよここは〜?」

魔法学校で学んだ魔法実践とは次元が違うとも言える緊迫した状況にジャスミンは思わず泣き出してしまった。
マドレーヌを探すために風の星行くつもりだったはずがどこなのかすら解らない星に着き、挙句の果てには変な生き物と何度も遭遇している。こんな事になるとは想像すらしなかった2人からしたら泣きたくなっても仕方ない事だった。
シャルロットは自分も泣いてしまいそうなのを頭を振りながら耐え続け、ジャスミンを起こしながら先へ進もうとしていた。

「ロッティ、まだ先へ行くつもり?もう戻ろうよー怖いよー。」

涙声で訴えるジャスミンにシャルロットも思わずこの部屋を出てしまいたいと言う衝動に駆られた。ここを出ればもうあんな怖い思いはしなくても良い。暗い所も無くなり、明るい場所が迎えてくれる。そんな考えが頭に浮かんだ。

「僕等とは関係ない話だろう。」

一瞬、ノアゼットの言葉が頭を過った。何事も諦めたかの様なあの言葉、マドレーヌを気にしてない様な淡々とした声で話していた言葉。
その言葉を思い出した瞬間、シャルロットはほんの少しの苛立ちを感じ、小刻みに震えてる体を無理にでも動かそうとしていた。

「うちは行く。怖いけど、先生を助けられないのはもっと怖い。この先に先生を助けられる道があるのなら、うちは迷わずに進む!」
「……勇気あるんだねロッティ。解った。わたしも行く。」

シャルロットの強い目を見てジャスミンも泣き止み、不安な気持ちを抱えつつも2人は部屋の奥へと進んで行った。

部屋の壁に取り付いているエレベーターを乗り最上階と言えそうな場所に辿り着くと、とある存在がシャルロットを迎えていた。

「ねぇ…ロッティ…あ、あれ、もしかしてロケットなんじゃない?」
「本当だ。うち等が乗ったロケットと似てる気がする。」

2人の目の前にあったのはシャルロット達が乗ってきたロケットと似たようなデザインをしつつもそれよりもはるかに大きく数人は乗れそうなロケットだった。

「って事はだよ?これを動かせばさぁ、他の星にも行けるってことだよねぇ〜?」

搭の中にあるロケットを動かせるかどうかは解らないが今はそんな事を考えている暇は無い。部屋の真ん中にあるロケットに近付いた時だった。

「シンニュウシャハッケンハイジョスル」

いつの間に居たのか再びロボット達が2人を取り囲んだ。その中でも赤いロボットは手に電気を纏わりつかせたまま2人を見詰めている。

「何かヤバい感じ……逃げよう!」
「でも……どうやって?」

逃げようとしてもロボットに囲まれてる状態ではどこにも行けない。
パニックになる2人を他所に、赤いロボットは電気をさらり強くし2人に突進してくる。
ロボットの突進による電撃が身体中を襲いかかり、意識を失ったままその場に倒れてるシャルロット達を灰色のロボットは何処かへと連れていくのだった。


 
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