マジバケ5つ星 | ナノ


扉の向こうの部屋へ進み、奥の壁に掛かっている梯子を上り、最早最上階と言える場所まで辿り着くと、普段ならそこにある事すら考えられなさそうな物が目に映った。

「こ、これ……もしかしてロケット……?」
「ス、スゴイ……見タトコロコワレテモイナイシ……コレナラ宇宙ヘモ行ケルカモ……。」

目の前にあったのは今にも飛んで行きそうなロケットが7台。
今まで本でしか見たことない存在を実際こうやって目の前で見れるとは思わなかった3人はその場に立ったまま動くことが出来なかった。

「うおっ!!なんなんだこの部屋!?なんでこんなところにこんなものが!?」
「う、うわー……本当にあったんだ……。」
「まさかこんなのが学校にあったとは……。」

同じくジャスミンを探していたポモドーロとチャイ、そして物置に行くシャルロット達を追っていたノアゼットもロケットのある場所に辿り着いた。

「マドレーヌ先生が風の星に行っただなんて半信半疑だったけど……本当に行ったんだわ……。」

宇宙の事も、星の事も、マドレーヌが風の星に行った事もとても信じがたい話だったが、目の前にあるロケットを見た以上、全てが事実であると信じるしかなかった。

「……戻るぞ。」
「おい、ノア!!ロケットだぜ!!お前はこれが凄く思わないのかよ!?」
「別に僕達が乗るわけじゃないだろう。無闇に触れて壊れたりでもしたら……」

ノアゼットが物置から出ようとしたその時だった。

『スペースポッド1号機発射準備が整いました。スクランブルゲート、オープン。スクランブルゲート、オープン。70セカント後に最終プロセスに移行します。』

警報ブザーと共に機械音のアナウンスが鳴ると、まるで地震でも起こったのかの様に地面が揺れ始めた。
そして、先程まで真っ暗だった部屋の天井が半分に割り、眩しい太陽の光が部屋にさし込んでいた。

「う、うわっ!!屋根が 割れたぞッ!?飛び立つのかーー――ッ!?」
「…ジャスミン!?ジャスミンが起動してるの!?」
「チッ、あのバカ…。」

案の定、ロケットの中にいるジャスミンがボタンを何個かいじっている。
流石に飛ぶことまでは計算していなかったのか目の前にあるレバーを思いっきり引っ張り、そのせいでロケットは爆風を起こしながら空高く飛びあがり、学校は勿論コヴォマカから姿を消してしまった。

一時的な地震と爆風に巻き込まれて気を失ったシャルロット達。
やがてすべてが落ち着きを取り戻すと、シャルロットとノアゼットが意識を取り戻した。

「ジャスミーーーン!!!」

シャルロットの叫び声が虚しく、ジャスミンを乗せたロケットは何処にも見当たらなかった。

「校長に知らせた方が良さそうだな。」
「え、そんな!?ジャスミンを追わないと。」
「こんな物をそう簡単に操縦出来るわけないだろう。それに、どこに行ったのかも分からないのに追いかけられると言うのか?」
「でも……」
「これ以上問題を起こそうとするな。ジャスミンの事は先生に任せれば良いだろう。」

そう言うと、ノアゼットは気を失った4人を起こそうとまずはポモドーロに近づいた。
そんなノアゼットを見ていたシャルロットはしばらくじっとしていたが、やがてロケットとノアゼット達を見まわしている。
すると、突然ロケットに向かって走り出し、一番近くにあったロケットの中に乗り込んだ。

「なっ!?おい、シャルロット!!降りて来い!!何バカな事しようとしてんだ!?」

いくらノアゼットが叫んでも、シャルロットはロケットを起動させようとしている。

「ツゥ……いったい何がどうなってんだ……?」

ポモドーロが意識を取り戻した時は、すでにシャルロットが乗っていたロケットが出発の準備をしていた。
目の前に現れたレバーを思いっきり引っ張ると、そのロケットも火を噴き出し、ジャスミンのロケットの様に空へと上がって行った。

「シャルロットーーーーーーー!?!?!?!?」
「ロッティ!?ロッティが動かしてるのか!?」

どれだけノアゼットが叫んでも、シャルロットのロケットは空へ飛び立つのを止めようとしなかった。青い空を乗り越え、気がつけば夜空の景色がシャルロットの目の前に現れた。
ロケットを動かしているうちに、シャルロットが乗っているロケットと同じ形をしたロケットが見えた。恐らく、ジャスミンが乗っているロケットなのだろう。
安堵の息を吐いたのも束の間、ジャスミンのロケットが巨大な隕石にぶつかり、遠くへと飛ばされて行くのがすぐ目の前で起きていた。
石が落ちていくかのようにとある星へと落ちていくジャスミンのロケットを追い、シャルロットはコヴォマカとは違う見た事の無い星へと向って行くのだった。

to be continued……

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