有名な魔法学校と言われるだけの事もあり、かなりの広さを自慢するウィルオウィスプ。その2階の端の部屋は物置になっており、たくさんの骨董品や魔法道具等が置かれていた。
『物を隠すなら物の中』、きっと物がたくさん置かれてるであろう場所と言えるこの物置にシャルロットはカフェラテと一緒に入って行った。
「シュガーさん!!」
物置で考え事をしているシュガーに気付き声をかけると、シュガーもシャルロット達が入って来た事に気付いた。
「ロッティも来たのね。見てこの壁。よじ登れそうだって思わない?」
「タシカニダレカガヨジノボッタケイセキガアリマス……。」
「この足跡、ジャスミン?」
シュガーが指差した壁には所々レンガが飛び出ていて、それを踏み台にして登ったかのような足跡があった。
その足跡は明らかに兎の足跡の様なもので、さっきまで行方不明になったジャスミンの物だと予想が出来た。
「登ってみましょう。もしかしたら、何かあるかもしれない。」
「うん!!」
ジャスミンが使ったらしきレンガを掴み、シャルロット、カフェオレ、そしてシュガーは壁の上にある部屋へと登って行った。
その上にあったのは、光が入ってこない暗い部屋で今まで見たことがない機械がそこら辺に展示されていた。
「ここは……??」
「うわっ、何これ!?」
今まで見た光景とは雰囲気が違う部屋に驚くシャルロットとシュガー。
そんな中、カフェラテは部屋にばらまかれて機械を何個か見ていた。
「コレハ…誰カガココデ実験デモシテイタノデショウカ。」
「実験??」
「2人とも、あれを見て!!」
シャルロットが指差した場所を見ると、明らかに人の顔をした扉が目の前に現れた。
「きゃっ!?何なのあれ?」
「ナンナンデショウ。ワタシノデータニハアリマセンデス。」
見るからに不気味なデザインをした扉に恐る恐る近付くと先程まで閉じていた目が開き、シャルロット達を見つめていた。
『なんじ天空への道を開く者か?』
唇らしき物が動くと、厳粛な声が部屋中に響いていた。天空への道を開く者、ジャスミンもこれを聞き、この扉の向こうへと進んだのだろうか?
「そうです!うち等は天空を開く者です!」
シャルロットがそう叫ぶと、扉は再び言葉を続けた。
『我、偉大なる魔の力持つ者に、天翔ける翼を与えん』
「偉大なる…魔の力?」
「もしかして、魔法を使ったら開くのかしら?ロッティ、あなたの光の魔法ならこの扉を開けるんじゃない?」
「う、うん。やってみる!!」
シャルロットは扉に一歩近づくと、魔法の呪文を唱えた。
「光よ…暗闇を照らす白くて気高な光よ…今ここに輝きを放ち、我等を正しき道へと導け!」
シャルロットの呪文の言葉が終わると同時に彼女の周りから小さな光が集まり、やがて大きな光へとなって部屋中を白く染めていた。
「何!?どうしたの!?」
「目、目ガクラミマス!」
シャルロットも普段とは違う光の強さに思わず目を閉じた。
『いってらっしゃい、シャルロット』
自分を優しく包むような感覚と共に聞こえたその声にシャルロットは思わず目を見開いた。気がつけば真っ白な光は消え、いつもの暗い部屋と不気味な扉が目の前に現れた。
『いざ、天の道開かん』
シャルロットの光の魔法に応じたのか、厳粛な声が響くと共に扉が開いた。
「スゴイ!スゴイデス!トビラガヒラキマシタ!」
「これで奥に進めるわね。」
扉が開くことに興奮したカフェラテとシュガー。3人はその扉の向こうへと足を進め、物置に隠されていた秘密へと近付いて行った。
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