ずどん!!
まあ、どの道こうなるけど、結局俺は、落ちて来たミエルの下敷きになった。
「いったぁ…あっ、大丈夫!?」
「いや、別にこれ位の……」
「どうしよう…。羽、痛んだりしてないのかな?」
見上げれば、ミエルは巣の中にいる雛を心配そうに見ていた。
「……て!?俺はどうでもいいのかよ!?」
「わあああ!!!来ないで!!」
いきなり悲鳴を上げれば、ミエルは俺に向かって拳を入れた。
つーか、痛ってぇ。こんなチビっ子の何処からあんな力が出てくるんだ?
「痛ってぇな!!何すんだよ!?
「来ないでぇ!!この子達を食べないで!!」
「何でそうなるんだよ!?」
つーか、速ぇな。気付いたらミエルが小さくなってるよ。そもそも、人がせっかく助けようとしたのに何なんだいったい?
「これあげるからこの子達は食べないで!!」
「いらねぇよ、そんなもん!!食ったりもしねぇよ!!」
ミエルはさっきのストラップを俺に渡そうとしたが、兎のぬいぐるみを小さくしたようなストラップ等欲しくは無い。
いや、その前に、ミエルは今、自分が抱えてる巣の中の雛を俺が食べようと思っている。
一体、何をどうすればそんな考えをするんだ?
「つーか、何なんだ一体?俺が何したって言うんだ?」
「ウーウー。」
「ウーウーじゃあ解んねぇだろう!?」
「うえ〜ん!!だって、だって。皆が、お兄さんには気を付けた方が良いって!!お兄さんは不良で、性格悪いだから、あまり近づかない方が良いって!!」
「はぁ?」
「ふふ…不良って、お金取ったり、誰かを殴ったりするって……。」
「……。」
ああ、なるほど。要するに、皆の言葉を真に受けて、俺と一緒にいるのが恐いと。
ストラップを渡そうとしたのは、俺がこいつを呼んだ時、こいつは金を渡せと思い込み、
代わりになる物を探したらストラップがあった。と言う事になるのか。
「あれ?ミエル、こんな所で何してるの?」
「キャンディー!!!」
キャンディを見た途端、ミエルは涙をだらだら流しながらキャンディの方へ走って行った。
と言うか、マジでナイスタイミングだ。もうこいつとは一緒にいられねぇ。
「うえ〜ん!!恐かったよぉ!!あのお兄さんに苛められそになったよぉ!!」
「はぁ!?」
「ちょっと、カシス!ミエルに何か変な事してないよね!?」
「してねぇよ!!つーか、お前等が俺の事変な風に言ったのが悪いだろう!?」
何て言ったかは解らないけど、こいつ等絶対とんでもない事言っただろうな。
「それより、マドレーヌ先生が呼んでるよ。もうすぐ授業終わるから、観察の記録、早く提出しなさいって。」
「マジか!?やべぇ!!おい、ミエル、その雛の観察するぞ!!そいつ等持って……」
「うわああ!?」
話を終えるも前に、俺はいつの間にか空を飛んでいた。いや、飛ばされたと言うほうが合ってるかもしれない。
ミエルが抱えてる雛の鳥を近くで見ようと近づこうとしたら、ミエルが大声で叫びながら風を起こしたのだ。
遠くまで飛ばされ、近くの木にすごい勢いでぶつかり、気が付いた時は俺は保健室にいた。
ちなみに、観察の記録はと言うと、ミエルが雛の鳥の観察記録を俺のと自分のをやって提出したらしい。
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