千年の出会い小説 | ナノ


太陽がサンサンと輝く朝、とある部屋でルークがフウカの髪を整えていた。
黒い髪の一部が白いリボンに結ばれ、最後にベレー帽が被せられると、ルークはフウカの髪をそっと撫でた。

「終わったよ。」
「…うん。」

椅子から立ち上がり、フウカは何度も鏡にいる自分を見つめていた。昨日と変わらない、けど見慣れない自分を。

「どうした?」
「…まだ慣れてなくて……。こんな風にした事、一度も無いから。」

前まで真っ直ぐだった髪はウェーブが掛かっていて、どう見てもパーティーの衣装のようなドレスを着ている。
前の自分だったらこんな事してたか怪しい位、今の自分は変わっていた。

「おーい、早くしろよ!!」
「お前は別に来なくてもいいぞ。」
「冷てぇ事言うなよ〜。久しぶりに街に行くんだぜぇ!!行かない訳ないだろう?」

2人が話す中、ロランスが2人に声を掛けた。そう。この3人はこれから学校を出て街に行くのだ。
本来ならルークとフウカ2人きりで行くのだが、街に行くと聞くなりロランスも行くと言い出したのだ。

「言っておくが俺達はフウカに必要な物を買いに行くんだ。お前にまで気を使う余裕は無いぞ。」
「そんなの解ってるよ。俺が行きたいんだよ。」

いつも行く街とそう変わらないのに、ロランスは何故か街に行くのを楽しみにしていた。

「よし!じゃあ、行くかぁ!」
「おい、待て。」

ルークの呼び声を気にせず、ロランスはそのまま走って行った。
だが、ドアを出てすぐ

「うわっ!?」
「……だから言ったのに…。」

掃除婦さんが拭いたばかりの廊下に滑って転んでしまった。
この時間になると、掃除婦さんが掃除をする。その事をロランスは見事に忘れていたようだ。
こんな人達と一緒に外出する事を考えると先が思いやられそうだ。


「早く来いよ!!」
「行ってるだろう。いちいち急かすな。」

学校を出ると、街と繋がってるらしき道が長く続いていた。
どれ位経つかは知らないが、相当長い時間を歩かなければならない事だけは確かだった。
しばらく歩くと、向こうから馬に乗った人がやって来た。
どれも見覚えは無いが、学校にいた人達が着てる服を着てるのを見ると、あの学校の生徒のようだ。

「あの学校では馬の乗り方も教えてくれるの?」
「まっさか〜、あれは貴族達だよ。あの学校は結構有名だからねぇ。
あの学校を卒業したと言う名誉のために入学した馬鹿な貴族達が結構居るんだ。」
「貴族?名誉?」
「あれ?難しかった?」

フウカが前に住んでいた世界は貴族や平民のような階級社会ではない。
前とは違う世界の風習を突然聞かされて理解に苦しんでるようだ。

「ここがオールドラウスだと言う事はルークから聞いただろう?
まあ、ここって言っても大陸だから、ここから凄く遠く離れてる所全体がそうだけどね。
このオールドラウスにあるいくつの国には王国もあって、そこには王族は勿論、貴族や平民もいるんだ。
さっき通った奴等が貴族で、俺達は…まあいわゆる平民かな?
で、今俺達がいるここは『メイリシア王国』。
そんなに大きくはないけど、賑やかで、遊ぶとこも多いから、多くの人達がよくここに旅行に来るんだ。
あ、もちろん、あの魔法学校に通うために来る人もいるさ。
以前、オスカー見ただろう?あいつはここからすんげぇ遠く離れてる『ナラス王国』の第2王子なんだ。
そんな奴も通う位だから、それだけ凄いって事なんだよあの学校は。」

ロランスの講義が続く間も3人は歩き続け、ついに街らしき物が見えてきた。

「見えてきたぞ。」
「おお!!ついに到着か!!」


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