千年の出会い小説 | ナノ


鏡に映ってる自分は、昨日と同じ白いドレスを着ていて、いつ準備したのか、ルークがくれたベレー帽を被っていた。
今日もまた、この部屋で1日が始まる。
週末であるため、寮にいる生徒達は少なく、この部屋にいる人も、自分とルークだけだった。
ルームメートのロランスは友達と何処かに遊びに行って今はいない。

「フウカ?」

ノックする音と共にルークの呼び声が聞こえた。洗面所に長くいたので気になってたのだろう。
フウカは急いでドアを開け、ルークに何か聞かれる前に洗面所から出てきた。
本当はルークから逃げ、別の所に隠れるつもりだったのだが、出て来てすぐルークに抱かれたため、失敗で終わった。
フウカが逃げればルークが捕まえ、また逃げればまた捕まえる。そんな繰り返しが今では日常になっていた。
最後はいつもこの部屋に連れ戻される。フウカにとってこの部屋は牢屋のようだった。

「どうした?顔に何か付いてたのか?」
「……。」

そんなフウカの気持ちを知らずか、ルークはただフウカの頭を撫でていた。


少し時間が経ち、2人は学校をぷらぷらと歩き回っていた。
教室や図書室、グリーンハウス、そして、生徒達がよく遊ぶ広場へ、2人はただ歩いていた。
広場にいる生徒達はほぼ皆、ボールで遊んだり話し合ったり、お弁当を食べたりしていた。
世界が違っても、学校の生徒達やる事は同じようだ。

「気に入った?」
「………。」

だが、だからと言ってまだこの世界に完全慣れた訳ではない。
この世界での時が過ぎれば過ぎるほど、元の世界での時が恋しくなる。
体を丸め、フウカは膝の上に顎を載せた。相変わらず目に涙を浮かべたまま…。

「おーい!!奥の方で凄い事になってるぞ!!」

とある男性が叫ぶと、広場にいた全員がその奥の方へと走って行った。

「……まーたあいつは…」
「え?」
「ああ、気にする事じゃない。すぐ終わる。」
「……。」


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