「ふあああ、やっと終わった〜!!!」
筆記テストが終わるなりクラスの中でも馬鹿であるロランス・サウンデスが伸びをしながら叫び出した。
すると、頬が一瞬冷たくなり振り返れば幼馴染のルーク・ブラックファントムが飲み物が入った瓶を手に持っていた。
「お疲れ。」
「お、サンキュー。」
ルークがくれた飲み物を手に取り、瓶を口元まで運んだ瞬間、ロランスは飲み物を思いっきり吐き出してしまった。
「汚ぇな。」
「何なんだこれ!?苦すぎて飲めねーよ!!」
「ウミニガソウの汁だ。目覚めにいいと言われてな。」
「ウミ…お前、俺を殺す気か!?」
ウミニガソウはそこら辺にある雑草で海水のような塩辛い味と独特な苦味で有名だった。
そんな草の汁を一気飲みしたのだから相当な苦味が口全体に広がったのだろう。
「次は実技テストだろ?疲れて眠りだしたらどうする?」
「だったら冷水とか、冷たいジュースでいいだろう!?何でこんなもん渡すんだよ!!」
「お前の眠気はそんな程度じゃ覚めないだろ。さっさと行くぞ。」
「待てよもう!相変わらず可愛くねぇな!!」
その後もロランスはルークに何だかんだいっていたが、ルークは一言も聞いていなかった。
魔法の実技テストは缶を足に繋いだ10羽の鳩を飛ばし、1分間その缶を何個当てられるかによって成績が決まる。
9〜10個は高、5〜8個は中、1〜4個は低とこの様に。また、魔法が鳩に当たった場合は失格となる。
「俺このテストが一番好きなんだよな。でも何でいつも低なんだ?」
「授業をいつもサボるからだろう。少しは真面目にやれよ。」
「るっせぇな。失格よりはマシだろ?ほら、あいつまた鳩に当てたぜ。」
ロランスが指さした所を見れば茶色い髪の女の子、エルゼ・マリンナイトが跪いたままビービー泣いていた。
「哀れだよな~.筆記じゃあトップなのに実技のせいでいつも成績は中なんだぜ。」
「あいつは集中力が衰えてるだけで実力はお前より上だぞ。」
「おっ、庇ってるのか??」
「さあな。」
そうやって会話が続く内にいつの間にかロランスとルークの順番が来た。
「じゃあ俺あっちだから。終わったらまたここで会おうな。」
「ミスったり寝たりすんなよ。」
「しねーよ。バーカ。」
互いの拳をくっつけると、2人はそれぞれ自分のテストの場所へ向かった。
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