千年の出会い小説 | ナノ


青い星が煌く夜空の下。まるでお城のような建物のある部屋の中、一人の少年が窓から星を眺めていた。
肩まで着く茶色い髪は星と月に照らされ更に美しく輝き、黒い瞳はまるで宝石のようだった。

「ヘックショイ!!」

突然、後ろから物凄い声が聞こえて振り向けば、長いオレンジ色の髪をした男が鼻水を吸っている。

「お前まだ寝てねぇのかよ?」
「お前のいびきを聞いて眠れると思うか?」
「るっせぇな。いい加減窓閉めろよ。こっちは眠いんだよ!!」

そう言いつつオレンジの髪の男は毛布の中に身を潜め、まるで雷のような音がそこから出ていた。
窓を閉めると、少年は部屋の奥にある鏡の方へ向かった。銀色の枠に取り囲まれた鏡に映る少年の姿。
やがてその鏡は石が入った水面のように揺れ、1つの背景が鏡に映った。
長い黒髪を三つ編みにし、眼鏡をかけている少女が自分の部屋で本を読んでいる姿。

「フウカ。」

少年が鏡に手を当てると少女の姿はいなくなり、少年の姿だけが鏡に映っていた。

ボブッ!!

何かが少年の頭に当たったと思って振りむいてみれば、オレンジの髪の男が苛ついた表情で自分を見ている姿が目に映った。

「さっきから窓開けたり鏡で変なもん見たり!!明日テスト受けなきゃいけない俺の事も考えてくれよ!!」
「テストは俺も受けるだろ?」
「お前は全然問題無いじゃないか!!」

結局オレンジの髪の男の説教を30分も聞かされ、心身が疲れた少年も自分のベッドで横になった。

「その勢いで勉強すればいいだろう...」

と囁きながら。



学校に行く準備を終え、少女は自分のベッドに座り本を読んでいた。
高校生活で疲れている彼女にとって読書は唯一の気晴らしだった。

「お姉ちゃん!!」

突然、部屋のドアがバンと開くと、小さな女の子がぷくれた顔をしたままそこに立っていた。

「何やってるの!?学校行く時間でしょ??」
「学校...行きたくないな…。」
「またそんな事言ってるの!?ママに言いつけてやる!!」

女の子はそう言いながら階段をドタバタと降りて行った。仕方なく少女は読書を辞め、カバンを持ち上げようとした。

「フウカ」

突然、誰かが自分を呼ぶ声が聞こえ、少女は部屋の辺りを見回した。が、そこに居るのは自分と、鏡に映ってる自分の姿だけだった。

「風香!!」

今度は遠くから大人の女性の声が聞こえてきた。

「いい加減出て来なさい!!全員ご飯食べ終わってるわよ!!」
「はぁ〜い。」

ようやく少女は自分のカバンを持って部屋から出て行った。

to be continued……


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