お城の様な建物を出ると、辺り一面が草原で、そこで何人かが遊んでいた。
その中には、ここから逃げ出そうとした時に会った青と黒が混ざった髪の男と、保健室で会った眼鏡っ子もいる。
「もうすぐ、あいつ等と一緒に遊べるようになるよ。」
「…え?」
ルークは何も言わず、ただフウカを見て小さく微笑むだけだった。
ふと、その時、
「ルーク!!危ないっ!!」
たくさんの人達が遊んでる所で誰かの叫び声が聞こえたと思えば、大きなボールがフウカ達へ飛んで来た。
フウカが恐怖のあまり動けなくなってる中、ルークはフウカを抱き寄せ、ボールに向かって手を差し伸べた。
すると、手から紫色の玉が出てきて、そのボールを飛んできた方へと飛ばした。
そのボールは、多くの人達の中の1人へと飛んでいく。
「悪ぃな!!」
ボールを飛ばした原因の眼鏡っ子がルークに叫ぶと、彼は再びたくさんの人達の中に入って行った。
「もう、大丈夫だ。」
フウカを抱いたままルークは小さく微笑んだが、フウカはルークから抜け出し、遠くへ走って行った。
遠くと言ってもほんの数メートルで、何歩か歩けば追いつける距離だった。
ルークはただそこに立っているフウカを見ると、芝生の上に座り、遠くで遊んでいる人達を眺めていた。
未だに立っているフウカは、自分に何もしないルークをじーっと見ると、恐る恐る、彼の所へ近づいた。
目の前にまで行っても、すぐ隣に座っても、ルークは何もせず、ただ他の皆が遊んでいる光景を眺めている。
「………ねえ。」
「ん?」
「…いつ、また道が出来るの?」
ルークは目線だけをフウカに向けた。ワナワナと震えているフウカの目には涙が浮かんでいた。
「いつになったら…帰れるの?いつ……」
フウカの言葉は、溢れ出て来る涙によって掻き消された。
俯いたまますすり泣くフウカは余りにも弱弱しく、今にも壊れそうな彼女を、ルークはただ抱きしめるしかなかった。
「フウカ。お前は帰ってきたんだ。お前が帰る場所に。」
「………。」
「今は少し混乱してるかもしれない。でも、もう少しここにいれば解るさ。お前の帰る場所は、ここなんだと。」
泣き出すフウカの声はだんだん大きくなっていったが、その声を聞いてるのは、ルークだけだった。
to be continued……
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