千年の出会い小説 | ナノ


太陽がほぼ沈んで空はオレンジや紫等、いろんな色が混ざり合っていた。
この時間になると学校の生徒達はほとんど自分の家に帰ったり、寮に戻ったリする。
ずいぶん前に戻ってきたルークは目が真っ赤になったまま眠っているフウカの頭を優しく撫で続けていた。

「ふぁあ。おはよ〜。」

あの雷の音が沈んだと思えばさっきまで寝ていたロランスが起き上がった。

「何がおはようだ?もう夕日だぞ。」
「あーそうか。じゃあおやすみ…。」

そう言うなりロランスは起きてすぐまた寝てしまった。
そんな彼にルークは枕を思いっきり投げ飛ばした。

「ったぁ!!何すんだよ!?」
「今日の仕返しだ。悪いか?」
「何だよ!相変わらずそんな事は根に持ちやがって!」

ロランスの怒り声と共に枕投げが始まった時だった。

「おい、入るぞ。」

寮のドアが開き、そこから青みのある黒い髪の少年、学級委員のオスカー・フェネンソウルが入って来た。

「何だまたやってんのか?」
「「うるせぇ!!」」
「……。」

入って来てすぐ怒鳴られ、オスカーは言葉を失った。そもそも、別の寮である彼が何故ここに来たのだろう?

「おい、集団旅行の知らせのプリント配りに来たぞ。」
「マジで!?」
「…切り替え早いな…。」

オスカーが持ってるプリントをロランスがバッと奪い取り、その内容を読んだ途端眉を顰めた。

「遺跡かよ!!」
「何だ?旅行には最適だと思うが?」
「じじぃ臭い事言うなよ!あんな古臭いとこ行ったって面白くも何ともねぇよ!!」

修学旅行の場所'エルヴィンヌ遺跡'は古き歴史のある場所であり、すべての始まりの場所とも言われてる有名な観光地なのだが、
歴史が大の苦手であるロランスは余り行きたくないようだ。

「大体、大昔の事勉強して何の意味があるんだ?」
「過去の出来事があったからこそ今の世界があるんだ。知って当然の事だろ?」
「へいへい、解りましたよ〜王子様〜。」

面倒そうな声で語るロランス。ちなみにオスカーはオールドラウスにある小さな国、ナラス王国の王子である。
王族であり、今は騎士団である彼は、国の未来を守るために自ら魔法学校に来たらしい。

「せっかくのバカンスなんだからもっと賑わう所が良かったなぁ。海とか、どっかの島とかさぁ。」
「子供か?」
「何だよ!そう言うオスカーだって子供じゃないか!」

ビービーと叫ぶロランスを無視して別の寮へ行こうとオスカーは寮のドアを開けた。



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