千年の出会い小説 | ナノ


「もう大丈夫だ。」

オレンジの髪の男性、ロランスが眠ってるか確認し、もう1人の男性、ルークは毛布からフウカを出した。
だが、フウカは未だに恐怖に満ちた顔だった。

「ここは何処?あなたは誰なの!?」

ブルブルと震えているフウカの頬にルークは優しく手を乗せた。

「怖がらなくてもいい。ここはオールドラウス。すべての存在が共に生きる場所。」
「帰して…お願い、帰して!」

いくらフウカが叫んでもルークは首を横に振るだけだった。

「あの場所にはもう戻れない。」
「どうして!?」
「…あそこはここの時間と重なった時にしか道が出来ない。その時間が過ぎた以上、もう戻る事は出来ない。」
「……どうして…どうして私を連れてきたの?ここに連れて来て、私をどうするつもりなの!?」

ルークは溜息を吐き、ゆっくりと口を開いた。

「何もしない。そもそも、俺はお前を攫ったんじゃない。連れ戻したんだ。」
「え?」
「フウカ。お前は。」

ここの住人なんだ。

しばらく2人共何も言わなかった。長い沈黙が続く中、最初に口を開いたのはフウカだった。

「嘘よ。そんなの嘘よ!!」
「信じられないかも知れない。だが、これは事実なんだ。お前はここで生まれ、ここで育った。
けど、お前の命が危うかったから俺がお前をあの世に送ったんだ。そして、ようやくお前を連れ戻す事が出来た。」
「そんなの信じられない!!」
「今は信じなくてもいい。でも、いずれ解る。お前が誰なのか。お前が何故ここにいるのか。」

ルークがフウカの顔をそっと撫でると、フウカの額に星の形の魔法陣が現れた。

「…!!何をするつもり?」
「心配しなくてもいい。すぐ終わる。」
「止めてぇ!!」

フウカが叫んでも、ルークはただ魔法陣に手を当て、語った。

「フウカ・シュネハウゼン。混沌と秩序を支配する大魔導師。そして、我、ルーク・ブラックファントムのマスター。今、この場に姿を現す。」

ルークの言葉が終わると同時にフウカの身が輝き、先程まで着ていた船員のような服から白いドレスへと変わった。
光が消えると、その場には波のようにサラサラとした黒い髪、夜空のような瞳の少女が立っていた。

「……。」
「おかえり。」

フウカの目から涙が一粒流れた。
彼女はもう鈴原風香ではなくなり、フウカ・シュネハウゼンとして生きなければならなかった。

to be continued……


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