千年の出会い小説 | ナノ


目を開けると、自分はどこかのベッドで横になっていた。
さっきまで友達と一緒にいたのに、今は知らない所で1人になっている。
周りを見回すとまるで中世の屋敷の部屋のような構造でベッドや机、シャンデリアまで
明らかに自分の学校の物とは異なっていた。
ふと、どこから何か小さな音が聞こえてるようだった。微かだけど聞こえてくる小さな音。
身を起こして見ると、自分が横になっていたベッドの奥のほうに
見覚えのない男性が本を読んでいた。

「……!!!」

突然、目の前が真っ白になった。見覚えの無い風景、会った事も無い男性。
それが目に映った途端、自分が誘拐されたと頭に浮かんだのだ。

「きゃあああ!!!」

やがて鋭い悲鳴声が部屋中に響き、それに気付いた男性も慌ててその子の肩を掴んだ。

「落ち着け!大丈夫、大丈夫だ。」
「いやああ!!離してぇぇ!!」

男性が落ち着くように言っても、こんな状況で落ち着ける筈などない。
自分を掴んでる男性の手を全力で振り払おうとした時だった。

「フウカ!!」

その男性が自分の名前を名乗り、フウカと呼ばれたその子は一瞬動かなくなった。
少女を見てる男性の目は真っ直ぐで悲しみが篭りながらも、どこか優しかった。
その目を見てフウカもようやく安静を取り戻した。その時だった。

「嗚呼……疲れたー。」

いきなりオレンジの髪の男性が入って来て、フウカと一緒にいた男性は急いで毛布をフウカに被せた。

「……何やってんだ?」
「別に。」
「……。」

しばらく怪しげに見ていたオレンジの髪の男性だったが、やがて彼は自分のベッドに潜り込んだ。
その後、何故か雷の音が鳴っていたが今は気にする必要はなさそうだ。



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