千年の出会い小説 | ナノ


物置き場に行くと、ルークは何かを隠していた布を引っ張り出した。
そこにあったのは寮にあった銀色の鏡だった。
ルークは鏡の周りに何かを描き、真ん中に置かれた鏡の枠に銀色の時計を掛けた。
そして、時計の秒針が動くたびに、床に描かれた絵は青く光っていた。


学校の昼休み、風香はトイレにある鏡を見つめてる純子を呆れてるように見つめていた。

「まだなの?」
「もう少しだから。」
「そう言ってもう10分経ったんだけど。」

今日は待ちに待った純子の憧れの人の誕生日。
彼女の手元にはこの前買ったスポーツタオルとカードがある。
それをこれからその人に渡し告白すればいいのだが、まだ心の準備が出来ていないようだ。

「だいたい、何で私まで行かなきゃならないの?」
「友達だからでしょ?少しは応援してよ!!」
「応援してるでしょ?」

応援してるのと一緒に行くのがどう関係してるのか聞きたい風香だった。
だが、純子が真っ赤になってる自分を隠すためにトイレに入ってしまい、そのタイミングを逃してしまった。

「風香居るよね?」
「ちゃんといますよ。」
「そこに居てね!逃げちゃ駄目だからね!」

最後まで純子は友人が居るか確認していた。
緊張してる今、頼りになる友人が側にいるほうが安心なのだろう。
純子がまだ中にいる間、風香は鏡をみつめた。
相変わらず何も変わらない自分の姿。そんな彼女の姿を見て溜息を吐いた時、時計の針がちょうど12時半を指した。

「…えっ?」

鏡に映ってる姿を見て風香は違和感を感じた。
そこに映ってるのは自分、だが目が少し鋭くなっていて髪の色も肌の色も少しずつ変わって行く。
やがてその姿は男性の姿になり、こう囁いた。

「行こう。フウカ。」

突然、鏡が青い光を出し、そこから男性がゆっくりと出てきた。
そんな彼を、風香はただじっと見つめている。
やがて彼の腕が風香の身を優しく巻き付き、
それから数秒後、2人の姿はその場から消えていた。

「ふぅ。やっと落ち着いて来た…風香?」

ようやく出て来た純子は風香が居ないことに気付き、名前を呼んでも返事は帰ってこなかった。

風香がいたその場には、彼女の携帯電話だけが床に落ちていた。

to be continued……


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