千年の出会い小説 | ナノ


「ちょっと風香聞いてる?」
「えっ?」
「んもう!!」

放課後、鈴原風香は渡部純子と一緒に近くの喫茶店で話をしていた。その話はと言うと、

「だ〜か〜ら〜!あの人に何をプレゼントすればいいのかよ!!」
「ふーん…。」
「ちょっと、真面目に聞いてよ!!」

純子には憧れの人がいてもうすぐその人の誕生日で、プレゼントを何にしようかの話だった。
だが、純子はそれだけ話したい訳ではないようだ。

「あたし、その日にあの人に告白するんだから。変な物渡すわけにはいかないでしょ!?」
「まあ、確かに。」
「でも…何を渡せばいいんだろう…。」
「その人の好きな物渡せばいいんじゃないの?」

確かに、相手が一番欲しいものを渡せばきっと相手も喜ぶし、告白にも有利である。が、

「それが解らないからこうして相談してるでしょ!!」
「それ位知るのが基本でしょ……?」
「そうだけど…。」

知ってるのは顔と名前だけで、彼の趣味や特技等はほとんど知らない事が問題である。

「後、どうやって告白すればいいんだろう?」
「そんなの、好きです。付き合ってください。でいいでしょ?」
「もう!!そんなの全然駄目に決まってるじゃない!!これだから普通の女の子は!!」

相談に乗って欲しいと言ったのは自分であるくせに相手にそんな事を言うのは失礼じゃないか?
と風香は心の中で囁いた。

「だいたい、風香は気楽過ぎるのよ!!勉強も運動もそこそこだし、見た目も普通だし、特に上手い事は一つもないし。
そんなマイペースだからモテないのよ。」
「悪口が言いたいのなら私帰るね。」
「あ〜ん!ごめんごめん、謝るから!!せめてプレゼントだけでも一緒に選んでよ!!」

友達の頼みに負け、風香は純子と一緒に大型店に行かなきゃいけなかった。

「そう言えば風香は好きな人居ないの?」
「何の特徴もないマイペースで普通の女の子に好きな人がいるとでも思うの?」
「もう…そんなに怒らないでよ…冗談だから。」

風香もいたずら気味で言っただけで悪気は無い。でも、純子の言った言葉はなんとなく気になっていた。
風香も1人の女の子。恋愛や見た目にファッション等に興味がない訳ない。
もし自分にも好きな人が出来たら、純子みたいになるのだろうか?

突然、肩に何かが触れる感覚を感じた。だが、振り向いても誰も居なく鏡に映ってる自分だけがそこに居る。

「ちょっと風香!!」
「うん?」

いつの間に居たのか純子がスポーツタオルを持ったまま風香を睨んでいた。

「何よ!人が真剣に聞いてるのに!!」
「あ、ごめんごめん。今…誰かに触れた気がして。」
「え〜〜何それ〜!妄想でもしたの!?」
「違うわよ!!」

色々とあったがようやくプレゼントも何にするか決まり、ラッピングやカード等も上出来で後は渡す日を待つだけだった。

「ねえ風香、もし断ったらどうしよう…。」
「何でそんな事考えるのよ?断る訳ないでしょ?」
「でも…やっぱり心配….」
「はぁ….」

物事をはっきりと決めない純子を見て風香は溜息を吐いた。


 
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