マジバケ小説 | ナノ


「暴力なんて駄目ですの!!」
「しょうがないだろう?あの門番を追い払うにはそれしか……」
「とにかく暴力は駄目ですの!!」
「オチツケヨ……。」

何が起きてるかと言うと、メースが村長の家に入れる方法を皆で相談し合っていた。
が、カシスが門番を叩き潰して中に入ればいいと言った途端、ペシュが怒り出したのだ。

「なぁ、ミエルは何か無いのか?って、あれ?ミエル?」

何か方法があるのなら言って欲しいとカシスはミエルに言おうとしたが、何故かミエルはここには居なかった。

「トリュフ、ミエル何処行ったか知らねぇか?」
「シードル連れて来るってよ。外で寝たら風邪引くとか言いながら。」

隣で本を読んでいるトリュフに聞けば、会ってすぐ喧嘩したシードルを迎えに行ったという。
あんな奴放って置けばいいのにとブツブツ呟いた時だった。

「ただいまー!!」

明るい声が宿屋に響き、玄関から不満そうな顔をするシードルと、彼の手を掴んでいるミエルとマジックドールが入って来た。

「シードルちゃん!ちょうど良かったですの!!シードルちゃんも一緒に考えますの!!」
「え?考えるって何を?」
「とにかく来なさいですの!!」

手を放したと思えばまた手が掴まるシードル。
ペシュに引っ張られたままシードルは無理やりメース達と方法を考えさせられ、ミエルはマジックドールをトリュフに返した。

「これ、ありがとう。」
「別に、拾ったもんだし。それ位出来ないなら捨てた方がいいさ。」
「ミニョイーン!!」

トリュフの言葉に反応したかのようにマジックドールはトリュフに向かって何かを訴えるようなポーズをする。
ミエルはトリュフがいるベッドに座り、未だに討論をやっているペシュ達を見ていた。

「大変だろ?あいつ等と一緒にいるの。」
「え?」
「あいつ等、個性強いからな。俺も最初あいつ等に会った時は冷えたさ。絶対仲良くなれないな、とよく思ったもんだ。」
「……でも、皆良い人達だよ。一緒にいると、私も楽しくなる。」
「そっか。ならいいけど。」

いつの間にか喧嘩をしているペシュ達を懐かしそうに眺めるトリュフ。
あんな風に言いながらも、やはりトリュフもクラスメートと一緒にいる方がいいようだ。

「そう言えば、トリュフくん、色んなプレーンに行ってたんだよね。」
「ああ、今日ちょうどこのプレーンを全部回って来た。面白かった場所もあったな。」

そう言うとトリュフはリュックから地図を取り出した。
今ミエル達がいる場所であるマサラティ村があるのを見ると、恐らく闇のプレーンの地図のようだ。

「特にここ、アクアビット城は水で出来ていて、観光地としては最適だな。」
「へぇ〜。私も行ってみたいなぁ。あ、でも、地図が無いんじゃ何処にあるのか解らないか…。」

闇のプレーンの地図をじっと見ているミエルを見てトリュフは小さく微笑んだ。

「やるよ。」
「え!?でも、」
「俺はもう要らないからな。あいつ等も地図が無くて困ってるだろう。」
「……ありがとう。」

「ミエルちゃん!!トリュフちゃん!!」

ペシュが大声で自分達を呼び、振り向けばペシュがプーッと顔を膨らませたままこっちを見ている。

「そこでお喋りしてないで、一緒に考えますの!!」

ペシュに強引に連れて来られたミエル達は夜遅くまでメースが村長の家に入る方法を考えなければいけなくなったと言う。

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