マジバケ小説 | ナノ


ロッシュの川辺りを進んで着いた所はキュートなネズミ、ピップル達の暮らすピップルスタウンだった。
他の村とは違ってカエルグミで商売するピップルスタウンでは、今シールを中心としたバザーが開かれている。
だが、目指すはラ・ロッシュの塔。複数のバザーを通り過ぎ、ミエル達は塔へと向かった。
だけど、門に立ち塞がっていたピップルはなかなか中に入れてくれなかった。

「ねえ、ミエル。何とかならないの?」
「うーん……とは言っても、ここには入った事無いから何とも…」

ミエル曰く、自分は塔に入れてもらえず、家族が戻るまで外で待たなきゃならなかったらしい。
万が一のために入る方法を教えてもらえば良かったと思う彼女だったが、今更悔やんでも仕方ない。

「にしても、ここの奴等は全員カエルグミで商売してんな。」
「全員じゃありませんの。ほら、あそこはブラーが使えますの。」

ペシュが指差したところにはバザーの中で唯一ブラーで商売をしてるピップルの店があった。
ちょうどカエルグミやミミズグミも切れていた所なので補給しに行こうと4人はその店へ向かった。

「ここはブラーが使えるのね。」
「ほとんどカエルグミで売ってるから大変だろ?」
「まあ、確かに。あ、そうだ。こっちも売りたいものがあるの。
ラシモフ銀貨を大量に貰ったんだけど、ここじゃ使えないみたいだからブラーに替えてくれないかな?」

マジックドールと一緒に貰ったラシモフ銀貨、その内何枚か売ってそのお金でカエルグミを買おう。
そう思いながらミエルが銀貨を渡すと、店の近くにあったピップルが突然大声で怒鳴りなした。

「てめぇ、コインを売りやがったな?」

何を言うかと思えばたかがコインを売った事で怒っていた。
売った本人は勿論、一緒にいた3人も呆れた顔をしている。
ふと、ミエルはとある事を思い出した。ここに最初に来た時、当時は理解出来なかった事を。

「この町がコイン売買禁止と知ってて売りやがったのか?」
「あー!?そんなの知るわけ……」
「うん、知ってたよ。」

怒鳴ろうとしたレモンの口を塞ぎ、ミエルが笑顔で答えるとそのピップルはゲラゲラと笑い出した。

「はっはっは!あんた、この道のモンだな。一目見りゃわかるぜ。
俺達の頭が、お前の持ってる金貨や銀貨を高く買ってくれる筈だ。
お頭はラ・ロッシュの塔の最上階にいる筈だ。俺が会わせてやるよ。」

どこからどうみても自分達とは明らかに違う外見をしてる4人をどうみたら同業者だと思えるのか。
だが、これでようやく塔に入れる。

「だが、すぐには会えねぇ。お頭の命を狙ってる奴はゴマンといるからな。
まずは、塔の入り口の男に火のシールを渡しな。あとは指示に従えばいい。」

そう言って、そのピップルは火のシールを渡した。

「…カッシーが言ってた厄介って…これ?」
「さあ…。」
「…まあ、入れるようになったんだし、行くか?」

そしてミエル達は門番にシールを渡し、ラ・ロッシュの塔へ入った。

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