マジバケ小説 | ナノ


ようやく密林を出るとすでに夕日になり、ミエル達は宿に泊まる事にした。
皆それぞれ身を休めてる中、ミエルはベッドに座ったままボーッとしていた。
そんな彼女が気掛かりだったのか、ペシュが声をかけた。

「……。」
「大丈夫ですの?」
「あ、うん。大丈夫」

大丈夫だと言うものの、その目は虚ろで、身体にも力が入ってないようだった。

「何かあったんですの?顔色悪いですの。」
「…私、小さい頃森に遊びに行って、突然何かに襲われた事があったの。
今まで忘れてたのに、フェンネルを見たら急に思い出して……」
「そんな事があったのか……。」

いつの間にかカシスもやってきて、ミエルの話を聞いていた。

「…ごめんね。心配かけて。」
「気にするな。誰だって嫌な思い位あるんだから。」
「……そうよね。…あいつの事だって、本当は……」
「ん?なんか言った?」
「んーん。何でもない。」

微かに残ってる力でミエルは精一杯微笑んだ。

「なんかお腹空いて来ちゃった。ご飯にする?」
「あ、ああ。でも、本当に大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。もう平気だから。カフェ〜。カフェのオーブン機能使ってもいいかな?」
「オウ!ジョウチャンノタメナラ、オーブンダロウガレンジダロウガ、ナンダッテナッテヤル!」
「おい待て。俺も手伝うよ。」

ミエル、カフェオレ、カシスが厨房に行き、残りは少し休む事にした。

しばらくして砂漠の渡り方を聞きに行ったトリュフが戻って来た。
聞いた話によると、アメフラシと言う生き物に触れながら渡ればいいのだが、出てくるのは明日らしい。

「じゃあ、今日は泊まりだね。」
「でも、早くしないと追いつけなくなりますの。セサミの事も心配ですの。」
「明日は早めに出発しなきゃな。で、あいつは大丈夫なのか?」
「あいつ?ミエルの事?そんなに気になるなら聞けばいいのに。」

シードルの言葉に何も言わないトリュフ。遠くを見てるようなその目には躊躇いがあった。

「にしても、随分ミエルの事気に掛けてるね。」
「悪いか?」

別に誰も悪いとは言ってない。ただ、会ってままならないミエルをあそこまで気にしてるのを見ると、どうも気になってしまう。

「もしかして、ミエルちゃんの事好きですの?」
「いやいや、トリュフに限ってそんな事…」
「ああそうだ。それがどうかしたか?」
『……えええ!?』

こんなにもあっさりと認められ、2人は驚かざるを得なかった。
普段は女性に興味が無いと思っていたトリュフに好きな人がいると聞けば尚更である。

前 
(1/4)
戻る
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -