マジバケ小説 | ナノ


マサラティ村がヴォークスの村ならば、タピオカティ村はニャムネルトの村である。
ほぼ全体が沼と森である闇のプレーンの中で唯一の砂漠であり、太陽が与える熱気のせいで村が揺れてるように見える。
村に辿り着いたミエル達は早速村の住人にガナッシュ達について聞き出した。
住人によれば、ガナッシュ達らしき人物はすでにエニグマの森に行くために東の森へと向かったらしい。
ミエル達も後を追おうとしたが、森には桜文鳥が何羽か道を塞いでいて、先に行けなかった。

「おい、トリュフ。お前ここ通ったんだろう?何とかなんねぇのか?」
「悪いな。俺がここに来た時はニャムネルトが食ってたんだ。退かし方は俺も知らない。」
「…じゃあ、ナイトホーク達はどうやって通れたんだろう?」
「村の人達に聞いてみた方がいいね。」

改めて聞いた所、ガナッシュ達はつい最近村に来たヴォークスの少年から文鳥の退かし方を聞いた事が解った。
だが、そのヴォークスの少年はこんにゃくいもを探しに砂漠に行って今は居ないらしい。

「ヴォークスの少年?」
「メースちゃんですの!間違いありませんの!!」
「だとしたら、砂漠に行かなきゃいけないな。ただ、問題は……」

トリュフを始め、ミエル達はカフェオレを見つめた。
そんなカフェオレも自覚はあったのかしょんぼりとしたように頭をガクッと下げた。
そう。カフェオレは古代機械。もし、砂漠の中で長く居れば体の熱が上がり、最悪の場合爆発する可能性もある。
だが、カフェオレ1人村に残すのもさすがに心配だった。

「……スミマセン。コンナキカイノカラダデ。」
「大丈夫ですの!!きっと、何か方法がある筈ですの!!」

こうして、ミエル達は簡単に砂漠を渡る方法を知るためにまた村の人達に聞く事にした。

タピオカティ村の奥のとある家。お医者さんであるムスクの妹のココアが眉を顰めていた。
手には何かが入ってるコップが持たれている。薬のようだ。

「飲みにくいかもしれんが我慢してくれ。それをあと30日も続ければ病も治る筈だ。」
「うん…。明日も、その次も飲むの…?」
「ああ、そうだ。かなり病が進行している。一日でも欠かすと危ない。」

どうやらココアは何かの病気に掛かったようだ。コップに入っている薬を飲み干したココアは大きく溜息を吐いた。

「なんだか、すごく嫌な味…苦くも、辛くもないけど…胸につかえるような…凄く悲しくなる味…」
「あと、一月ばかりの辛抱じゃないか。病気が治ったら、美味いものを沢山食べよう。
肉でも、果物でも、ケーキでも、何でもいいぞ。何が食べたい?」
「……んーん。何も食べたくない…。」
「今は体が何も受け付けないだけなんだ。来月になれば、何か食べたくなるさ。」
「ありがとう…。」

ココアが小さく微笑んだ。すると、玄関からドアがノックされる音が聞こえてきた。

「あの、すいません。ムスクさんの家ですか?用事があって来ました。」
「どうぞ。」

ドアが開くと、4人の人間、1人の愛の大使、1人の古代機械が入ってきた。

「おや、見かけない顔だね。さっきも君達くらいの子供が何人か、この村を通って、東のエニグマの森へ向かったよ。
この辺りは文鳥が邪魔で通れなかったり、砂漠は熱くてバテたりで、大変だろう?
私は、文鳥のどかし方は知らないのだが、上手な砂漠の歩き方なら解るよ。」
「実は、その事で来ました。砂漠の歩き方を聞きたいのですが、教えてくれませんか?」
「ごめん、今は急いでるし、教えても意味が無いから、また後でね。」
「意味が無い???」
「今はまだ砂漠を渡れる時期ではないからね。それじゃ。」

そう言うと、ムスクは家から出て行った。

「…どうする?」
「その時期が来るのを待つしか無いな。」

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