マジバケ小説 | ナノ


ペシュは回復魔法しか使えないので、戦闘はカシス、ミエル、カフェオレに任せるしかなかった。
最初に攻撃をしたのはカシスだ。スラッシュを2体呼び、精霊によって倍化された刃の魔法をヘイルクラブに放った。が、硬い甲羅のせいでそんなに深い傷を与えていない。
続いて、エアを2体呼んだミエルが風の刃を上へ放った。
風で作った最弱の魔法はそんなに威力は無い。
だとしたら、上にぶら下がった氷柱のをヘイルクラブに突き刺すしかなかった。
次々と、落ちてくる氷の槍がヘイルクラブを襲ったが、甲羅に当たるたびに粉々になるだけだった。

「大変ですの!!来ますの!!」

ペシュの叫び声と同時に、ヘイルクラブの口から泡が出てきた。
その泡は寒さで凍りつき、大量の氷の玉がコロコロと転がっていた。
カフェオレが出したネジロボが次々と泡氷を砕いたおかげで、危害にまでは及ばなかった。が、

「きゃっ!!」

砕かれずに転がってきた泡氷を思わす踏んでしまい、ミエルは身体の中心を保てずその場で尻餅を付いてしまった。

「ミエル、危ないッ!!」
「!!」

ミエルの目の前にはいつの間にかヘイルクラブが立っていて、大きな手を自分に向けて振り落とそうとしている。
あのはさみが付いた手に叩きつけられれば、身体が真っ二つになってしまう。
大きなはさみがついた手が、ミエルに襲い掛かろうとした時だった。

ドンッ!!

先程ミエルがいた場所には誰も居なく、大きなはさみは地面を叩きつけた。
いつの間にかミエルは空中に浮かんでいた。誰かに抱かれたまま。

「フラウンダ。メースの傍にいろ。」
「ミニョイーン!!」

マジックドールに命じ、抱いたミエルを降ろしたのは、さっきまで居なかった筈のトリュフだった。

「全く、女の子に向けて武器を振舞うなんて、相当人でなしだな。」

トリュフはカシスの隣に立ちながら、ヘイルクラブを睨みつけた。

「本当は少し脅すだけにしようと思ったが、そっちがそう来る以上、こっちも本気出させて貰おうか。」

指を鳴らしながらトリュフは精霊を呼び出した。闇の精霊ニルヴァを。
そして、ヘイルクラブに攻撃する隙も、動く隙も与えず、トリュフは容赦なくヘイルクラブにヘルダイスを放った。
はさみを振り落とそうとすればかわし、再び魔法を放つ。
そんな事が続いてるうちに、ヘイルクラブのスピードはだんだん落ちて行った。

「終わりだ。アビス。」

3体のニルヴァの力を借りた闇の魔法がヘイルクラブを包み、やがてヘイルクラブはドンと音を立てながら仰向きになった。
3人で倒せなかったヘイルクラブをトリュフ1人で倒したのだった。

 
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