マジバケ小説 | ナノ


「へくしょん!!ズビズビ。」
「おいおい、大丈夫か?」
「大丈夫で…へっくし!!」

ジェラ風穴に入ってから、ペシュのくしゃみが止まらなかった。
ノースリーブ、と言うより肩まで露出している服を着ているから、一番寒いのだろう。
言われなくてもノースリーブのカシスも風穴の寒さを実体験している。
ローブを着ているミエルは寒さを感じていない、と言うより、寒さなんて頭の中に入っていないようだった。

「ジョウチャン、ボーットシテタラドコニイッテルカワカラナクナルゼ。」
「……。」
「シードルちゃんの事気にしてますの?」

言うまでもない。シードルはミエルの大の仲良し。そんな彼にあんな事を言って相当気にしているのだろう。

「それにしても、ミエルがあんな風に怒鳴るのは初めて見たな〜。」
「ミエルちゃんが怒ると怖いですの!!鬼になりますの!!」
「はは、鬼ねぇ〜。」

そう言うと、カシスはミエルの頭にポンと手を乗せた。

「そんなに気にするな。誰も知らなかったんだ。ミエルが気にする事じゃない。」
「……。」

カシスが宥めてもミエルは曇った表情のままだった。

アイスシードが実るグラッシ花の咲く場所は、風穴の中でも一番寒く、太陽の光が遮られている奥の方。
そこにはその花を探していたメースがアイスシードを握ったまま倒れていた。

「どうしましたのっ!?大丈夫ですのっ!?」

メースに気付いた4人が駆けつけると、幸い気を失っているだけだった。
彼を背負って風穴から出ようとした時、妙な音が聞こえてきた。

「がっしょん、がっしょん。」

「ナニカヘンナオトガ……。」
「私も聞こえた。」
「こりゃ、あいつだな。」

カシスが見てる所には氷で出来た柱。
そして、その後ろから氷と同じ色をして、巨大なはさみをもったカニ、ヘイルクラブが姿を現した。

「な、な、な、何か来ましたの……!」

そのヘイルクラブは、ミエル達を見るなり襲い掛かってきた。

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