マジバケ小説 | ナノ


シードルは村のベンチに座ったまま俯いていた。悲しさと、悔しさが彼の眼に篭っている。

「あれ?シードル?」

誰かに呼ばれたと思い顔を上げてみると、もう1人のクラスメートのトリュフが目を見開いたまま自分を見ていた。

「あいつ等いなかったから、お前もてっきり行ったのかと思ったんだが。」
「……皆はジェラ風穴に行ったよ。メースを助けに行くって。」
「メース!?何であいつがあんな所に?」
「…はぁ。」

どうやら、シードルもメースと門番との会話を聞いたらしく、その会話の内容を聞いたトリュフは目を吊り上げながらシードルを見ていた。

「…それを、お前はただ見てたのか?何にもしないで?」
「……僕だって、このままで良いと思ってない。けど、しょうがないよ。僕達、不幸だったんだ。」

本当はシードルも助けに行くべきだと思っている。が、過去の傷がそれを邪魔する。
しばらく黙り込んだトリュフは突然森の方へ走って行った。
10分位が経って、トリュフが持って来たのは、そこら辺に落ちてそうな丸太を適当にロープで結んだ筏だった。

「ちょ、ちょっと、何してるの?」
「見れば解るだろ?氷の島に行くんだ。」
「そんなんで行くの!?」
「しょうがねぇだろ?他に船が無いんだから。」

トリュフはいかだを沼に投げつけ、オール用の木の枝を持って筏に乗った。

「お前は別に来なくてもいい。だが、俺は行く。俺はもう、同じ失敗を二度も繰り返したくはないんだ。」

オールを漕ぐと、トリュフを乗せた筏はゆっくりとマサラティ村から遠ざかって行った。
ミエル達がメースを見つける前に辿り着けるか心配だ。

to be continued……

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