マジバケ小説 | ナノ


「プシュ〜〜〜〜。」

ようやく魔法学校、ウィル・オ・ウィスプが見え、バスの中で苦労をしたカフェオレの息の音がすると同時にバスは停止した。
バスから降りてきた皆は学校の入り口の近くにある階段に集まった。

「ふ〜。それじゃ、オイラはこれで…。」

ピスタチオが集団から立ち去ろうとした。

「待ちなさい。ピー君。」
「キャンプを途中でやめたら退学だぜ!それでもいいのか?」
「あの時とは全然、状況がちがうっぴ!!」

最初にキャンプに行くときに、校長先生が言った言葉。もし、ノコノコと学校に戻ってきたら、その場で退学。
だが、エニグマにさらわれて散々な目にあったピスタチオにはそんな事を気にしていられなかった。
ぴょんぴょん跳ねているピスタチオの動きをアランシアの言葉が止めた。

「……そうかなぁ……。校長先生は全部知っていたんじゃないかなぁ。」
「知っててオイラたちをキャンプに向かわせたっぴか!?」
「この学校の卒業生の5人に1人はエニグマ憑き…
もし、それが本当ならもうすぐ戦争が始まるってのも有り得ない話じゃないわ。」

ウィルオウィスプの生徒のほとんどは卒業をすれば国に就いている。
その中にエニグマが憑けば、物質プレーンをエニグマが自由自在に支配できる。
要するに、戦争も考えられなくもなかった。

「大人たちじゃ解決できない何かを探させる為に危険を承知で、私たちをエニグマに会わせたのかもしれないね………。」
「よく気が付いたじゃねぇか、少年少女よ。実は、魔バスを光のプレーンに送り込んだのは、エニグマじゃなくて、校長なんだ。
この国の他の魔法使いは誰1人として、敵か味方か分からねぇ。いざってときに、グラン・ドラジェが頼れるのは、お前等だけなんだ。」

グラン・ドラジェが走り回って集めたマドレーヌクラスの生徒達。
大人ではなく、まだ未熟な子供達を偉大な魔法使いが頼りにしている。
優等生から劣等性までの生徒全員が驚いた。

「なんてこった………。」
「私たち、グラン・ドラジェに見込まれてますの!?」
「喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら……。」
「イクシカナイッテコトダゼベイベ〜。」

見込まれているとはいえ、余りにも大きな問題を抱えている事にプレッシャーを感じた。
特に落第寸前のピスタチオは。

「鬼だっぴ………先生は鬼だっぴ………。」
「………ハァ……なんだか、気が遠くなってきたわ。
だけど、大人たちに頼れないって分かった以上、私たちでなんとかしなきゃ!!」

もう、帰りたくても帰れない。戦争の原因を防ぐために、連れ去られた友達を自分達が探さなければ行けなかった。

「急ぐんだったら、俺が召喚機を動かしてやるぜ!
召喚機ってのは、他のプレーンから生き物を呼び出したりする機械なんだが、
改造すれば、こっちから向こうに生き物を送り込めるようにもなる。」
「授業に使うもの、勝手にいじってもいいのかな……。」
「まあ、いいじゃないか?それじゃ、順番に1人ずつ行くかーっ!」
「オイラはイヤだっぴ!! 」

誰かは行く、誰かは行かないと主張する中、バルサミコがそれを遮った。

「おおっと、焦るなよ! 行けるのはカフェオレだけだ!」
「オレカ…ガックシ…。」
「ドワーフに改造してもらったジェネレーターにだなぁ、召喚機の魔道パルスを流して、タービンを逆回転させるわけよ。」
「セツメイガ、アバウトナンデスケド…シクシク…。」
「で、カフェオレにガナッシュらを探しておいてもらう。魔バスが修理できたらすぐに助けに行く。これでいいだろ?」
「だけど、カフェオレだけが行ったところで!」
「不安ね。どう考えても。」

光のプレーンでも誘拐された挙句、オーブンにされたから、闇のプレーンでも散々な目に合う可能性が高い。

「私も行くよ。カフェオレと一緒に召喚機に入れば行けるだろ?」
「私も!!」
「私も行きますの!」

レモン、ブルーベリー、ペシュが立候補した。やはり、カフェオレ1人じゃ心配なんだろう。

「そんなに何人も入れねぇ。せいぜい3人だろ。」
「じゃあ私とレモン!」
「誰と行くかは、カフェオレが決めな。カフェオレが一番頼れる奴を選ぶといい。」
「イカナイッテノハ、ダメデスカ?ダメデスネ…ワカッテマシタ……シクシクシク…。」
「カフェオレちゃん!がんば!」
「……シクシクシク…。」

カフェオレが一番苦労してるものだ。次に生まれ変わった時はどうか幸せな人生を過ごしてほしい。

「それじゃ、俺は召喚機を改造してくらぁ。」

 
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