マジバケ小説 | ナノ


キード・モンガから出て行き、魔バスに戻ると、バスで待っていたバルサミコが早速カフェオレの腹を開けてみた。

「おう!!いいねぇ!!いい感じになったねぇ!!」
「じゃあ、闇のプレーンに行けるのか?」
「おう!!ちーっと時間が掛かるからそれまで一休みしてな。」

機械の組み立ては想像するより手間が掛かる。
バルサミコがカフェオレをバスに繋いでる間、残りの生徒は近くにある文鳥温泉で休む事にした。

文鳥温泉はその名どおり文鳥が管理している温泉であり、岩に囲まれてる、まさに自然に恵まれた温泉である。

「温泉だー!!」
「走るなっぴ!!」

温泉に入るなり、男風呂からこんな声が聞こえてきた。
男風呂と女風呂の間に壁があったが、その奥が今どんな光景になってるのか何となく想像出来る。
一方、女の子達は風呂に入る前にバスにあった洗面道具を分けたり、それぞれ着替えたりしていた。
その中、ミエルはスカーフを外すと、ずっと付けていたペンダントが目に映った。
長い革紐に繋がられてる水色のガラス石のペンダント。

「本当大事にしてるなぁ。」

いきなりレモンに声を掛けられ、ミエルは身体をビクリとさせた。

「…別に大事なんかじゃ」
「またそんな事言ってぇ。本当は嬉しいんだろ?」
「そんな事……」
「まだ見つかってないのか?それをあげた人。」
「……。」

レモンの問いに何も答えないミエル。
実はそのペンダントは、ミエルの誕生日に、誰かがミエルの机にこっそり置いてあった物であった。
あげた人の名前どころかカードも無く、ただペンダントが入ってる箱だけがあったため、誰が渡したのか未だに謎である。

「温かいですの〜。」
「本当、気持ちいい〜。」

「痛いっぴ!!やめるっぴ!!」
「おいピスタチオ。逃げるなよ!!」

雲一点もない真っ青な空を景色に、生徒達は温泉を楽しんでいた。

「そう言えば、先生はどこにいるのかな?」
「光のプレーンは全部回ったのに、見つからなかったね。」
「先生も闇のプレーンに連れて行かれたとか?」
「いやそれは………」

話を途中で終えたレモンの顔は、「あ、あり得るかも。」と言ってるような顔だった。
生徒達にとって、担任のマドレーヌはいつもぼんやりしている先生である。
どこかでぷらぷらしてる内に連れ去られたのかも知れない。と言う考えが女の子達のほぼ全員に浮かび上がった。

「一刻も早く闇のプレーンに行かなきゃいけませんの!!」
「修理が終えたらだけどね。」

「待てこらぁ!!」
「やめるっぴぃ!!」

女風呂では真剣な話をしているのに、男風呂では訳の解らない事で大騒ぎになっている。
すると、レモンが湯船に入ったまま指を空に向けると、大きな雷が男風呂の方へと落ちて行った。
その後、2人の男子の悲鳴が響いたのは言うまでもない。

「つーか、ミエル。その浴衣いつまで着るつもり?そろそろ入りなよ。」
「え?ああ、え…と。私、熱いの苦手だから。」
「そんなに熱くないよ~。温かいよ~。」
「……ほら、モンスターと戦った時の傷がまだ痛くて…。」
「だったら私が治してあげますの!見せなさいの!」
「え!?い、いいよ!」
「恥ずかしがる必要ありませんの。」

ペシュはミエルの浴衣を掴もうと近付いた途端、ミエルは大急ぎで逃げてしまった。結局ミエルが風呂に入る事はなく、余計に汗をかいてしまったためシャワーをしなければならなかった。

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