ようやくエレベーターに辿り着き、昇降ボタンを押そうとした時だった。
「くっくっく…。待ちわびたぞ……くっくっくっく…。」
どこから聞こえて来るのか解らない聞き覚えのある声がミエル達を迎えた。
「ナンダ??コノアヤシイワライゴエハ?」
「油断しちゃいけませんの!?何かいますの!?」
辺りを見回すと、エレベーターがある広い部屋に散らばったガラクタからまたドワーフが現れた。
先程会った物と同じように、目が据わって、闇の気配が感じるドワーフが。
「このエレベーターを使うためには…カエルグミをオラに預けなきゃなんねぇんだ。」
「そんな嘘、子供にも通用しないっぴ!!!」
意外にもピスタチオがもっともな言葉を吐いた。そうゆう自分も子供ではあるが。
「カエルグミなしには戦えぬ、ウジ虫共め……。くっくっくっく…。」
「お前が言うな!!フラッシャ!!」
レモンが放った雷がドワーフの身体に命中し、ドワーフはびりびりとなりながら床に倒れた。
「バカね。もはや融合するしか戦う方法が無くなったあなた達がバカバカしいわ。」
ミエルの言葉にドワーフは苛立ったのか、険しい表情で彼女を見つめた。
「自分の力を使おうとしないお前に、言われたくないわー!!」
そう言って、そのドワーフもダブハスネルに変わった。
「何故その力を使わない?お前の本当の力は、その程度の物じゃないだろう!!」
「…何の事?私には、あなたが何を言ってるのか解らない。」
「チッ……。最後まで白を切るつもりか。なら、その力、俺が使わせてもらう!!」
ダブハスネルが突然ミエルに飛び掛った。だが、ミエルが放つ大きな竜巻に立ち向かえる力が、ダブハスネルには無かった。
吹き飛ばされるダブハスネルに6人が魔法を放ち、ダブハスネルを倒した。苦しそうに唸るダブハスネルだったが、やがてニヤリと笑った。
宮殿からキード・モンガに来るまで、確実に強くなっていた。
「くっくっくっく……強くなったな…。俺を倒したところで、誰かがその力を手に入れる……
その強さを手に入れるのはどのエニグマかな?」
今は負けたが、いずれ強くなった魔法使いを自分の手に入れられる。
未だにそんな野望を捨てていないダブハスネルが挑発するように6人に語ると、その視線をミエルに向けた。
「小娘。いつまでも隠し通せると思うな。お前のその力、いつか存分に使わせてもらう!」
そう言い残すと、ダブハスネルの姿はもうどこにも居なかった。
「おい、どう言う事だ?隠してるって、どう言う事なんだ?」
「…解らない。私には何にも……」
ミエルに向けたダブハスネルの言葉を聞いたキルシュは、ダブハスネルが消えるなりミエルに問い詰めた。
だが、本人は知らないと言っている。本当に知らないのか誤魔化しているのかは解らなかった。
すると、
「!!!」
「ミエルちゃん!?どうしましたの!?」
突然、ミエルに激しい頭痛が襲ってきた。余りにも突然に起きたせいで、ミエルにさえ何が起きたか解らなかった。
すると、ミエルの頭に何かが浮かび上がった。
目の前に居る、見覚えの無い何かが…。
しばらくして頭痛は治まり、すきっとした感覚だけが頭に残った。
「大丈夫ですの?」
「…うん。多分。」
「外で休むか?」
「ううん。大丈夫。もう何ともないから。」
立ち上がったミエルを始め、6人全員がエレベータに乗ると、エレベータは親方のいる最上階へと上がって行った。
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