マジバケ小説 | ナノ


「ひゃ~〜!石油臭ぇ〜!!」
「鼻が曲がりそうだっぴ!!」

光のプレーンにある自慢の工場だけの事あって、中は機械や鉄、機械が出してる石油の匂いが溢れていた。
余りの匂いに息も出来そうになかったが、親方に会うためには我慢しなければならない。
キード・モンガの親方がいる場所は塔の最上階。行くにはエレベーターに乗らなければいけなかった。
だけど、エレベータにいける門をドワーフが見張っているため、行くには奥にある門から入らなければいけなかった。
エレベータに行くために、無数の階段を登ったり降りたりしてる時だった。

「そう言えば、カフェが作られたのってずーっと遠い昔の事だったよね。」
「12000ネンモマエニナ。」
「それって、その時にも機械があったって事でしょ?」
「マア、ソウイウコトニナルナ。」
「そんな昔にも機械を使ってたんだ〜。凄〜い!!やっぱり歴史って面白〜い!!」

多すぎる階段を行き来して疲れてる皆とは違って、ミエルは自分が知らなかった事を知ってかなりハイテンションになっていた。
そして、疲れなど最初から無かったかの様にミエルはさらに階段を登って行った。

「俺さぁ、あいつの家がどんな風になってるか何となく想像出来るんだけど。」
「部屋中、本だらけだったりして。」
「両親に無理やり勉強させられたに違いないっぴ。可哀想なミエルだっぴ。」

いつの間にかミエル達はエレベーターへ行ける扉がある所まで辿り着いた。
開けようと思ったら奥に居たらしきドワーフがスイッチを押さないと開かないと言い、そこら辺にあったスイッチを押すと、やっとドアが開いた。
だが、もう一度ドアの方へ行くと、さっきまで居なかったドワーフがそこに立っていた。

「お前達、こんなとこであにしてるだー?」

ドワーフの問いに、キルシュとペシュが答えようとしたのをミエルが止めた。

「あなた誰?」
「見れば解るだろ?ドワーフだべ。」
「じゃあ、聞くけど。魔力なんてこれっぽちも無いドワーフにいるその闇の気配はどう説明できるの?」

例え姿が完璧でも、ミエルの目を誤魔化す事は出来なかった。彼の近くにいた闇の精霊、ニルヴァがいる限り。
何も言い返さなくなったドワーフを見て、残りもそのドワーフを警戒し始めた。

「ちっ、面倒な奴と出会ったもんだ。だが、敵は取らせてもらう。」

そう言うと、ドワーフの身体から別の生き物が出てきた。宮殿で会ったダブハスネルが。

「俺自身の敵をな…!」
「…あなた、宮殿で会った…」
「くっくっく…。まさか、覚えているとはな。もうあの時みたいに倒されたりはせん!!」

ダブハスネルがミエルに向けて手を振り下ろそうとすると、キルシュが火の魔法をそいつに命中させた。
余りにも強い威力により、ダブハスネルは階段から転がり落ちてゆく。

「何だ?弱っちぃな。」
「オイラ達だって、もう負けないっぴ!!」
「あの時はやられちまったが、今度はそうはいかないぜ!!」

次々と魔法が放たれ、ダブハスネルに当たった。やっと止めを刺したと思いきゃ、まだ息をしている。
怒りと悔しさが混じった目でダブハスネルは6人を睨んでいた。

「畜生……更に力を上げてやがる…!!」

再び生まれ変わり、宿主も手に入れた。ようやくリベンジできると思ってたが、それどころかまた倒される屈辱を得る事になった。
悔しそうに呟くダブハスネルだったが、やがてニヤリと笑い出した。

「しかし覚えておけ!ウィルオウィスプの卒業生のうち5人に1人はエニグマ憑きだ。
やがて、お前らの国にも戦争がおきて、エニグマ憑きの者がこの世界の全てを手にする。
その時になって、俺様と融合しなかったことを悔やむんじゃないぜ……くっくっくっく……。」

そう言い残し、ダブハスネルは爆発した。融合したドワーフの姿は、どこにもいなかった。

「……ドワーフは?ドワーフは!?」

目の前でドワーフが完全に居なくなったのを見てミエルの顔が真っ青になった。
ペシュも、目を見開いたままドワーフを探している。

「ドワーフさんは、どうなってしまいましたの!?私達、ドワーフさんを殺してしまいましたの!?」
「落ち着くんだ!!ドワーフは死んでない!!死んだのはエニグマだ!!ありのままだけを見るんだ!!」

レモンが宥めてもペシュは落ち着けられそうになかった。
エニグマと融合し身体を奪われたことで、すでにドワーフでは無くなっている。その事が今にも信じられなかった。

「…このままじゃ、他の皆も、ああなってしまうかもしれない…。」
「なら先を急ごう!!グズグズしてると追いつめられるだけだ!!」

 
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