ミエル達がキード・モンガに入った後、ゲアラヴァ村に新たな人物がやって来た。
長い銀色の髪を持った青年、カシスだった。
彼は遠くから聞える聞き覚えのある声を聞き、その近くにあったドワーフへ走っていった。
「ようやく見つけたぜ!オッサン!!俺のダチを返しな!」
「ダチ!?お前の!?いんやぁ、何の事かさ〜っぱり。」
「てめぇ!切り刻まれてぇのか!?」
白を切るドワーフをカシスが問い詰める中、目が据わっているドワーフ3人が村にやってきた。
「ここだな…。確かに気配を感じる…とりあえず、邪魔なドワーフを消しておくか…。」
なんと、魔法が使えないはずのドワーフの内1人が、闇の魔法で村にいるドワーフを攻撃した。
その光景を見たドワーフ達はもちろん、青年も驚きを隠せなかった。
「あんだ〜〜!?粛清か〜!?粛清が始まっただか〜〜〜!?」
「!!!!!何者だ!何故なぜドワーフが魔法を!?」
「髭のないのが1匹いるな。決めた。奴を宿主にする。」
ドワーフがまた闇の魔法を放つと、黒い炎が青年を包み込んだ。
「ぐはっ!!」
「俺達は先に行くぞ。」
2人のドワーフが去ると、魔法を放ったドワーフが青年に近付いた。その青年は身動きせず、そこに倒れている。
「まさか死んではないだろうな……もっとも、あの程度で死ぬのであれば、はなから用はないのだがな。」
「クッ……!!テメェ……!!」
倒れていたと思った青年が放った刃の魔法が、ぼーっと見ているドワーフを切り裂いた。
「ゴブッ……!! どこにそんな力が…グフッ…駄目だ……引きずられる……
このままでは死んでしまう…次の宿主…っ次の宿主を……っ!!」
そう言うと、ドワーフの中からエニグマが出て行き、死んだドワーフを残したまま姿を消した。
「油断しすぎなんだよ。」
「油断したのは……どっちかな……?」
声がしたのは青年の背後。
気がつくと先程自分が探していたドワーフの目つきが変わっていて、いつの間にか自分に魔法を唱えていた。
そして、何かをするよりも前に青年はそこからいなくなった。
「やはり、ドワーフでは駄目だ……。 しばらく、こいつの中に潜んで……次の宿主を……。」
そう言うと、ドワーフは建物の中に入っていた人物を見つめながら、不気味な笑みを浮かべていた。
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