マジバケ小説 | ナノ


「こんなもんであっさり入れるなんて……。」

小さくて面白い形をしたナイフのような物を見ながらミエルは複雑な表情になった。
ラ・ロッシュの塔を出て行く時パルメザンから貰ったチーズナイフだった。

「あのお頭ちゃん優しいですの!!チーズもこんなにいっぱいくれましたの。」
「つーかこれじゃあ全部食べきれないよ。」
「でもいい匂いがするわね。」

大量のチーズが入った袋を抱え、ピップルスタウンを去り、魔バスへ戻る時だった。

「ぎゃぁぁぁーーーーッ!!」

突然、遠くからセサミの悲鳴が聞えた。
こんにゃく様に驚いただけと言う茶番劇があったから、今回もまた似たような物なのではないだろうか?
声がした方へ駆けつけてみると、肝心の声の持ち主のセサミの姿はどこにもいなかった。

「……セサミがいたのって、この辺よね?」
「ちょっと探してみよう。」

周囲を見回してもセサミの姿はどこにもいなく、人がいる気配も感じなかった。
そうやって探してる中、突然川からぴちゃぴちゃと音が聞えた。
そこにいたのは子供、の形をしている水の塊だった。川と同じ色をしたその生き物は4人に近付いて来た。

「ウォーターピープル!?どうしてこんな所に!?」
「ウォーターピープル?」
「光のプレーンにそんな住人いたっけ?」
「水のプレーンの住人よ。だけど今はもう、水のプレーンにはいないの。
闇のプレーンに何人かいるって話は聞いたことあるけど……どうしてここに?」

4人がウォーターピープルに近付くとその子は小さな口を開いて、少し神秘的な声で話しかけた。

「ハうア えウく リるクす ラいロめ デろ二お プク。」

ウォーターピープルが言っている言葉は普通の人は理解できない言葉、ウォーターピープルのみ使うアクエリム語だった。

「何ですの!?何て言いましたの!?」
「闇の獣の力で、道ができたって言ってるわ。エニグマがプレーンの間を通る時に巻き込まれてこっちに来たんだわ。」

ブルーベリーが解読した。彼女曰くお婆ちゃんから少し習ったらしい。

「セサミのことを聞いてくれない?」
「アうグ うシゅ ナいマわレ かピて アーしタ プク。」
「はム べり なモにー ぼルかレ タりろネ プク。」
「けプープク。」

ウォーターピープルとの会話を終えると、ブルーベリーは先程の内容を教えてくれた。

「小さな生き物が、エニグマと一緒に消えたそうよ。」
「セサミですの!?」
「解らないわ。」
「セサミじゃない?あの子も小さいし、どこにもいないし。」

セサミがエニグマと共に消えた。要するに、また別のプレーンへ連れ去られたのだ。

「かボしャ はバれケ げボんゲ? プク。」
「にゃカ ハにャけケ りモにー プク。」
「? 何を話したの?」
「私たちと一緒に来るかどうか聞いたの。」
「それで、プルプルちゃんは何て言いましたの!?」
「この川が気に入ったって。」

話が終わったと判断したウォーターピープルは川の中で遊び始めた。
まあ、この川は綺麗だし、太陽はぽかぽかだし、ここに居たいのも解らなくない。

「とりあえず、この辺にはセサミはいないと思って間違いないな。急ごう!」

 
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