マジバケ小説 | ナノ


「いんやー!!助かっただー!!」
「もー、感謝感激雨あられだべ〜。」

モンスターから開放されたドワーフ達は4人に顔が地面に付くほどの勢いで頭を下げながら礼を言った。

「いんや、命拾いしたないや。」
「んだずー。命の恩人だ。この門は自由に通ってけれ。」

モンスター、ブッチーネ3世を倒してくれたお礼に、ドワーフ達は金は後払いと言う事にして、自由に門を通れるようにしてくれた。
ようやく裏門から出られ、本格的にカフェオレを探す事が出来るのだ。

「ところで、マドレーヌ先生のことなんだけど……。あの先生、ボーッとしてるだろ?
こっちの世界に来てたとしたら、ヤバいんじゃないかな?」
「あー確かに。もしかしたら今も危ない目に会ってるかも知れない。」
「カフェオレが見つかったら すぐに探し出して、助けてあげなきゃ。」

担任の先生であるマドレーヌ。
引率者でありながらぼんやりしていて、遅刻魔でもある先生の事を考えると心配でままならない。
だが、生徒達は知らなかった。海岸であった出来事を、彼等の先生が、どれだけ実力のある魔法使いなのかを。

光などどこにも無い薄暗い森の中、そこには数え切れない程のピスカプークが死体になったままあちこちに散らばっていた。
その近くに立っていたのは光のプレーン話題になっていた担任のマドレーヌ。
学校で見せるぼんやりとした顔とは全く正反対である隙も与えないほどの鋭い顔になりながら彼女は残りのピスカプークと向き合っていた。

「生徒達はどこにいるの!?返しなさい!!」
「こいつ……何者だ…これではキリがない!」
「それはこっちの台詞よ!!ケルレンドゥはどこにいるの!?直で話をつけるわ!会わせなさい!」
「ケルレンドゥを知ってる!?人間のくせに…!?」

ある存在の名前を聞いてピスカプーク達は驚きを隠せなかった。
ケルレンドゥ。ピスカプーク達にとっては偉大なる存在のようだ。

「虫ケラの名前を1つ知っていたところでどうする。それに、虫ケラは死んだ…。たった今…くっくっくっく……。」
「誰?」
「誰でもよかろう…。」

突然、ピスカプークとは逆に余裕そうな笑い声を出しながら別のエニグマが現れた。
焦げ茶色をして、四方八方に腕が生えた、ピスカプークよりも圧倒的な力を感じるエニグマだった。

「私の生徒をこっちの世界に引きこんだのは、あなたね!?」
「お前の生徒はここには来ていない。光のプレーンにいる。学生ごときは、我らが光の中にあっても恐れる存在ではない。」
「私だけ特別に闇のプレーンにご招待されたわけね。ありがとう。恐れ入るわ。」

そう言うとマドレーヌはホッとした様な顔になっていた。
そんな彼女の気持ちを知ってか知らずか、エニグマ達はさらに不気味に笑い出した。

「ケッケッケッケ!!光のプレーンはもうすぐ落ちる。
太古の魔法と、ドワーフの技術が俺達の物になる。そして、俺達が宇宙を支配する。」
「俺と融合しろ。どのプレーンにも行けるぞ。クックックックック。」
「ケルレンドゥ配下のエニグマは1匹もいないのね…。」
「虫けらどもは、皆死んだ。生まれ変わる為に。記憶を消し、生まれ変わる。エニグマは1つになる。俺がエニグマの王になる。」

もはや、目の前にいるこのエニグマが今のエニグマの頂点になっている。
マドレーヌはそう納得した。だとしたら、ここにはもう用は無い。

「フゥ…いやになるなぁ、もう。宿主を持たないエニグマが、そんなに強いのかしら?」
「なんだと……!?」
「あなた達じゃ、私の生徒にも勝てないわ。」
「なんだってぇ〜??」
「光のプレーンにいるんでしょ?だったら、焦る必要もないな。」
「お前が言ってることは、全てただのハッタリだ。思い知らせてやる。」

プライドが傷つけられ苛立ったエニグマからマドレーヌは少し距離を置いた。

「ハァ…やれやれ……またどこかでお会いしましょう。」

そう言うとマドレーヌの体は薄くなって行き、エニグマのいる場所から居なくなってしまった。

「!!!!逃げたぞ!!」
「チッ!!光のプレーンは後だ!!ガキどもと、あの女を殺す!!闇のプレーンに引きずり込め!!」

巨大なエニグマの怒り混ざった命令が、光の入らない森中に響いた。

 
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