マジバケ小説 | ナノ


2階の廊下を通ると愛の大使の少女が廊下を走り回っていた。
村で見たのとは違ってピンク色で、2つに結んだ髪型は明らかに自分たちのクラスメートだった。

「ペシュ?どうしたの?」

ミエルの声を聞いたペシュは目を見開いたままクラスメートの居る所へピューンと飛んで来た。

「あっ!!皆ー!!大変ですのーー!!ブルーベリーちゃんが動けなくなって、それから……それから……。」
「落ち着いて話すっぴ!!」
「そうよ、ペシュ。最初から話して。」
「あ、あ、あ、あうあー最初ってどの辺からですの〜?」

慌てながら口をパクパクさせているペシュは頭の整理がまだ出来てないようだ。

「やれやれだぜブラザー。まず、レモンがいない訳から話しな。」

ペシュによると、宮殿に入った時にエニグマに襲われ、レモンが囮になってる間2人は宮殿の地下へ逃げ出した。
そこで会う予定だったが、レモンは来ないし、挙句にブルーベリーの具合が悪くなった。結局ペシュは誰かを呼ぼうと走ってきたらしい。

「誰かを呼んでこようと思ってそれで、どうしたの?」
「迷子になってしまいましたの……。」

クラスメート全員が呆れてしまった。学級委員でありながら何やってるんだか。

「頼りにならないっぴ。」
「ピスタチオちゃんに言われたくありませんの!」
「はぁ…行くよ。」

クラスメートのいる場所を知った以上、エニグマがいる状況の中ではモタモタしていられない。
溜息を吐いたミエルを始め、ペシュを含めたクラスメートがブルーベリーのいる地下へ向かった。

宮殿は想像以上に広く、自分達がどの階数にいるのかでさえ解らなかった。
だが、ミエルはそんな宮殿に何の迷いも無く進んでいく。

「凄いですの!!ミエルちゃん、何でも知ってますの!!」
「やっぱ一度来た事ある奴は違うよなぁ。」
「それじゃあペシュは何だっぴ??」
「酷いですのぉー!!」

プンプンと怒り出すペシュを必死で宥めなきゃいけなくなったクラスメート。
奥で友達が助けを待っているのに、ここで喧嘩するのは流石に分が悪い。

「…??」

突然、ミエルが階段のど真ん中で立ち止まると、何かを探してるかの様に周りを見回した。

「どうしましたの??」
「…今…誰かに呼ばれたような…。」

他のクラスメートも辺りを見回しても、そこにいるのは自分達と、そこら辺で遊んでいるモンスター達だけだった。

「空耳なんじゃな〜い?」
「……。」

アランシアの言ったように唯の空耳なのだろうか?再び階段を降りようとした時だった。

「気を付けて。」

先程ミエルを呼んだ声、海岸で聞いた優しい女性の声がミエルの耳元に響いた。


「闇の気配が……あなたの友達の近くに居ます。」

 
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