マジバケ小説 | ナノ


「何やってるの?もうすぐ出発よ。」

またもや誰かが入ってきた。マドレーヌクラスの優等生のブルーベリー・レイクサイドと、ライオンのような髪形をして少し男っぽいニャムネルト族のレモン・エアサプライだった。

「ホントお前らグズだよなぁ。なんとかなんねぇのか?」

レモンの言葉に男子3人はムキになった。その中でもキルシュは

「何だってぇ!!!」

顔を真っ赤にしてレモンに叫びだした。

「ご…ごめん。待たせちゃって。すぐに行くつもりだったのに…。」
「わっ!!ミエルいたの!?違うから、ミエルに言ったんじゃないから!!」
「おい、差別かよ!!」
「五月蝿ぇ!!男は黙ってな!!」

ミエルにだけ優しくするレモンにキルシュは不満を抱え、やがてはレモンとキルシュの言い争いになってしまった。

「おはよう。皆ここにいたのね。」

今の場所の雰囲気とはかけ離れてる元気な声が禅部屋に響くと、あんなに騒いでいたキルシュがいきなり静まり返った。
入ってきたのはクラスの中でも美少女であり、キルシュの片思いの相手であるキャンディ・ミントブルーだ。

「あっ!ミエルこんな所にいたの!?探してたのよ!!」
「ごめん、ピー君がトレーニング付き合ってほしいって言うから。」
「もう…お人好しなんだから。」

ミエルとキャンディはいつも一緒にいるほど仲良しな親友で、2人で待ち合わせの約束もしていた。が、その約束はピスタチオによって守れなくなってしまったのだ。本人はそれに全く気にせず、未だに落第の話を切り出して喚いていた。

「なーんだ。じゃあこうしなよ。これからヴァレンシア海岸にキャンプへ行くでしょ?
そこでめいっぱい魔法を鍛えるの!そんで、ガナッシュに勝てるようになるまで帰ってこない!」

キャンディの提案に全員がポカンとした顔になった。
ガナッシュ事、ガナッシュ・ナイトホークはクラスの中で実技トップ。そんな彼と本気で戦ったら生きては帰れないだろう。

「うわっ、キツ〜!せめてキルシュにしとけよ!」
「どういう意味だよ!俺に勝つのは大変だぜ!!」

レモンの言葉に納得がいかなかったキルシュがムキになった。まあ、確かに彼もかなりの実力者である。頭を使わないことが彼の欠点なのだが。
そんな中、ブルーベリーとキャンディも自分達の目標を切り出した。
ブルーベリーは体を鍛えること、そしてキャンディは

「ははは、目標かぁ……。私は……告白出来たら良いなぁ」

告白だった。ちょうど彼女に思いを寄せているキルシュはこれを聞いた途端顔が真っ赤になり、隣で聞いていたセサミもピスタチオを突き飛ばす勢いではしゃいだ。

「来たぜ!!兄貴!!とうとう来たぜ!!どうする兄貴!!」
「あ、あ、あ、慌てるなっ!!オ、オ、俺も男だ!!俺だって、このキャンプで!!」

一番慌てているキルシュ。だが、恋の話が誰よりも好きなキャンディは少しずれた方向へと向かっている。

「キルシュも誰かに告白するの?!やっぱりアランシア!?彼女しかいないよねぇ。」
「あ、アランシア!?アイツはそんなんじゃなくてホラ、あの……。」
「お互い頑張ろうねっ!」

にっこりと笑うキャンディにキルシュは何も言えなかった。

「キャンディは誰にっぴ?」

ピスタチオがキルシュが聞きたかった疑問を問うと、キャンディはにっこり笑いながら一歩下がった。

「男の子には……な・い・しょ。今日の夜、コテージで女の子だけでお話しよ。」
「…ッ…勝手にしろ!」

一番気になっていたキルシュはキャンディの返事を聞いた途端ムキになって禅部屋を出て行き、セサミも後をついていった。物凄い勢いで走っていったがその背中はとても切ない。

「ミエルは目標無いの?」
「私?さあ。海に行くことだけ考えてたから。」

自分の目標を何にするか考えてるミエルを見てブルーベリーがある提案を出した。

「じゃあ、あそこから戻ってくるまでには仲直りする。のはどう?」
「仲直り?誰と??」
「あたし達よりミエルの方が解ってると思うけど??」
「……。」

ミエルが仲直りする相手。それが誰なのか知った彼女は複雑な顔になった。

「さぁてと、私も行こうかな??」
「あっ!!こら逃げるな!!」

レモンが呼び止めたが、ミエルは逃げ出すように物凄いスピードで禅部屋から出て行った。

to be continued……

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