マジバケ小説 | ナノ


「何陰気臭い顔してんだよ?」
「……。」

眉を顰めたまま外を見てるミエルにキルシュが声を掛けた。

「やれやれ、女は面倒臭ぇな。だからいつまで経っても仲直り出来ないんだよ。」
「別にしなくてもいいし、するつもりも無い。」
「へいへい…。」
「それより、どこに行くっぴ?」

地図を広げると、自分達がいる文鳥ヶ原の先に大きな宮殿がある事が解った。

「まずはここからね。」
「よし、じゃあ行くか!!」
「待って、その前にワクティ村に行かなきゃいけない。村長から鍵を貰わなきゃいけないの。」

光のプレーンに来たことのあるミエルが言ってる事だからきっとそうだろう。
多少遠回りになるが、4人はワクティ村へと足を運んだ。

ブルーベリー達を探しに行くために宮殿に行く事にしたミエル達は村長から宮殿の鍵をもらうためにワクティ村へ向かった。まではいいが…。

「きゃ〜〜!!可愛い!!なんて可愛いの〜!!」

村についた途端、ミエルが愛の大使の女の子をぎゅっと抱きしめたまま騒ぎ出した。

「んもう!さっきまであんなに怒ってたくせに〜。」
「まあ、これで機嫌直したみたいだしいいだろう。」
「…オイラ、ノーコメントだっぴ…。」

やっと落ち着いたミエルが戻り、4人は女の子1人が拝んでいる所にある建物、村長の家へと向かった。
中に入ると暖かい雰囲気を出してる部屋の中にトルティーヤの父でこの村の村長、ガトーがいた。

「村長さん。お願いがあってきました。」
「おお、旅の人か。先程の3人の連れの方ひゃの?」
「はい。クラスメートです。」
「先程の3人様にレーミッツ宮殿へ入るために、宮殿の鍵を渡したのひゃ。レーミッツ宮殿に用があるなら、共に行かれるとよいひゃ。」
「ありがとうございます。」

ようやく鍵がもらえたので、早速宮殿に向かおうと出口に向かうと2階から階段をどんどんと鳴らしながら誰かが降りてきた。
降りてきたのは魔バスの近くで会ったトルティーヤと親衛隊。

「父上!!なぜ余所者に宮殿の鍵を渡すのですか!」
「おお、トルティーヤか。すまぬひゃ。これもすべて、愛ゆえひゃ。なにがなくとも、思いやり。それがすなわち、愛ひゃ。」
「そんな事のどこが愛ですか!?もっと真剣に考えてください!あなたはもう、村長の資格などない!!」

何の条件も付けずに与える無条件の愛、他人を危険に巻き込ませたくない思いやりの愛、この2つの愛が親子の間でやり合っていた。
だが、そのやり合いはガトーの穏やかな声と言葉によって静められた。

「そうかも知れん。この村に村長などおらんひゃ。みな、自分で考え、自分で自分を正しておるひゃ。」
「私を村長とは認めないとおっしゃるのですね。それも良いでしょう。しかし、村のルールと安全は私が守ります。」

父の変わりに自分が村を守ると主張するトルティーヤ。
すぐ怒る所はまだ子供っぽいが、彼も村長としてそれなりに責任を果たしている様だ。

「旅の者よ、宮殿の鍵は自由に使うが良い。しかし、エニグマは私達の敵。私達が倒す!」
「手柄は全部ムスコさんのもの!」
「そうすりゃ村人もムスコさんを村長と認めるってもの!」
「その通り!!行くぞ!親衛隊ッ!!」

トルティーヤ達が家を出ると、そんな彼を優しく見守っていたガトーが口を開いた。

「すまぬひゃ。見苦しい姿をみせましたひゃ。」
「親子は誰だって喧嘩位しますよ。」
「息子が持っている愛のデッパリは村長ワンドとも呼ばれ、村長の証とされてきた品ですひゃ。また、ワンドは闇をはらう力を持っているとも言い伝わっておりますひゃ。ワンドを彼に持たせておるのは、村のためでも、彼のためでもありますひゃ。これもまた、愛ですのひゃ。」

自立して行く息子を守る為、またそんな彼を応援する為に自らワンドを渡した。
今までトルティーヤが村長として責任を果たせたのは、愛を知る事が出来たのは、もしかしたらガトーが与える父親としての愛のおかげなのかもしれない。

「……羨ましいですよ。トルティーヤに、あなたのようなお父さんがいるのが。」
「よし、さっさと行くか!!カフェオレ達を探しに!!」
「…おー、だっぴ……。」

こうして4人は新たなクラスメートを探すためにレーミッツ宮殿へと向かった。

to be continued……

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